資産18億!87歳「日本のバフェット」のデイトレ現場に密着(1)1200銘柄をPC3台で確認

 今、金融の世界をザワつかせているのが、御年87歳にして現役バリバリのデイトレーダーだ! 投資歴68年で築いた資産はナント18億円! 本誌は、指1本で数千万を動かす鉄火場に密着。伝説のデイトレでガッポリ儲かる投資マインドのすべてを開陳してもらった!

「まずは、値動きをチェックするパソコンで買い注文を入れるんですわ」

 こう言いながら慣れた手つきでマウスを動かすのは藤本茂氏(87)=以下シゲルさん=。11月に「87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え」(ダイヤモンド社)を上梓したばかりの投資歴68年の超ベテラン投資家だ。今回アサ芸は、短期間の取引を繰り返して利益を得る「デイトレード」の現場に立ち会うことができた。

「リアルタイムで株価が更新されるソフトが入っていて、だいたい1200銘柄がオンタイムで見られるようになっています。では、竹内製作所を4265円で2000株買ってみましょう」

「注文」ボタンをクリックするやすぐさま隣にある2台目のパソコンのモニターで取引が成立したことを示す「約定」を確認。驚くべきはわずか数秒で約850万円もの大金を投じたにもかかわらず、シゲルさんの表情は縁台将棋に興じるがごとき涼しげだ。

「私がやるのは信用取引という証券会社から資金を借りて売買する取引。月間の売買代金は6億円ほど。それだけに、取引のたびに緊張していたらキリがありません(笑)。ただし、なにも藪から棒に銘柄を購入しているわけではないんです。みずから確立したルールを元に買う銘柄を決めています。1つ目のポイントは『増収・増益・増配』であるかどうか。企業の売上、利益、株主への配当が上がっているかどうかを確認します」

 鋭い視線が3台目のパソコンへ。企業の業績を検索できるウェブサイトがモニターに表示されている。

「これは情報収集用。パソコンを使い分けることでログインパスワードを入力するロスを省いています。ここに企業名を入れて検索するんやけど‥‥」

 マウスの操作とはガラリと変わり、キーボードの操作は人差し指で1文字ずつ入力する老人そのもの。だが、「プロファイリング」はお手のものだ。

「ほら、竹内製作所の業績が出ましたよね。ここ3年間の数字を見ると増収、増益、増配を達成しています」

 21年~23年で、売上が約600億円、経常利益が約80億円、1株あたりの配当金が35円アップしていた優良企業だ。

「長野県に本社があるミニショベルなどの建設重機を扱うメーカー。BtoBで米国や欧州で高いシェアを持っているのに、日本ではあまり知られていない。実は堅調に業績を上げている日本企業の1つなんです」

 さらに、買い方にもマイルールがある。いわゆる分割売買だ。

「2つ目のポイントとして、売買において『1・2・6』を意識するようにしています。まずは打診買いで1000株程度、上がりそうだなと思ったら、さらに2000株、もっとイケると思ったら、さらに6000株を購入するやり方です。売る時も同様です。相場が読めない展開やこれまで取引したことのない銘柄を売買する時にリスクを低減させる効果があります」

 シゲルさんが約18億円の資産を築いた投資術は企業の業績の推移を重視するファンダメンタル分析に分割売買を組み合わせたオーソドックスな手法に過ぎない。だが、時にはセオリーを完全に度外視した“掟”があった‥‥。

(つづく)

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