「モーニングショー」で物議、大学生はなぜ救出作業中に動画を撮影したのか

「片手にスマホ持ってて救出できるのか」「カメラ回してる場合か?」「そんなに再生数を稼ぎたいのか」などと心無いコメントがネット上に寄せられたのは12月8日の朝。テレビ朝日系「羽鳥慎一 モーニングショー」が伝えたのは11月28日に岐阜県内で発生した交通事故の直後の模様だった。

「迫る煙と炎 車内男性救出劇」と銘打ってオンエアされたのは、一人の大学生がスマホで撮影した映像だった。たまたま現場に居合わせた大学生は「やばいやばいやばいやばい」と声を上げて事故現場に接近。そこには、大型トラックに追突して運転席部分が大きく破損した軽トラックが…。運転席では、男性が足をはさまれて取り残されていた。撮影者は「降りられますか? こっちから降りられますか?」と声をかけるも、運転手は動けない。撮影者はなんとか運転手を引っ張り出そうとするが、運転手は「あ~いたた」とうめき声を上げて足はなかなか抜けない。やがて軽トラックのマフラー付近から出火。炎は徐々に大きくなるが、足はなお固定されたまま。結局、救出作業を始めて15分ほどで消防隊が現場に到着。運転手の男性は救出され、そのまま病院に搬送されたという。

 スマホで撮影された命がけの“救出映像”は大反響を呼んだ。SNSには「勇敢過ぎる。オレにはできない」「アッパレをあげたい」と称賛の声が寄せられる中、「動画撮るよりも救出に集中してほしかった」「動画撮ってヒーロー気取りか」などといった的外れのコメントも見られた。

「番組では決死の救出を試みた大学生にインタビュー取材を行っていました。事故発生時刻は午前4時頃。まだ夜明け前で暗かったため、大学生はスマホのライトを使って状況を確認していたのですが、ライトが故障。そこでビデオに切り替えて、フラッシュ機能を試したらライトが使えるようになり、そのまま動画モードで車内を照らし続けたとのこと。つまり、緊迫の救出映像は、運転席の様子を明るく照らすために偶然、撮影されたものと言えるでしょう。命の危険をかえりみない、勇敢な行動であり、批判を受ける筋合いはありません」(メディア誌ライター)

 ネットの一部で“炎上”する動きを察知してか、番組MCの羽鳥慎一アナも「今回映像残っていますが、意図的に撮影したのではなく、救助の際にスマホのカメラのライトで中を照らそうとして、結果的にこういった映像が撮れていた」と強調し、「勇気ある行動」と称えていた。

 どうか、再生回数目当てのどこかのユーチューバーと混同しないでほしいものだ。

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