日本人の海外旅行先として高い人気を誇るハワイ。同州の産業経済開発観光局によると、コロナ前の19年に訪れた日本人は157万人いたが、コロナ禍が明けた今も円安や物価高の影響で敬遠する人が多く、夏休みシーズンの今年8月でさえ19年同月比で56.8%と、回復には程遠い状況だ。
観光が主要産業のハワイ州にとって日本人旅行者が戻ってこないのは死活問題。そうした中、旅行喚起策のひとつとして同州が検討しているのが日本からハワイへの渡航者を対象とした日本での事前入国審査だ。
現在、出入国在留管理庁と協議を重ねており、先月来日したジョシュ・グリーン知事も21日に配信された共同通信のインタビューでこれを認めている。
通常、入国審査は現地到着後に行うが、長いフライトの後に長時間並ぶのはかなりのストレス。しかも、米国は不法就労などが多いことから入国審査が近年厳格化。以前より時間がかかるようになり、係員からあれこれと質問攻めにあうことも珍しくない。英語に堪能であれば問題ないが、そうでない人はこれを理由にハワイを避ける人もいるだろう。
「実は、カナダでは以前から導入されており、米国に飛行機で向かう場合は出発地の空港で入国審査を実施します。そのノウハウがあるため、そう遠くないうちに日本でも導入されるはずです」(旅行誌編集者)
また、ハワイといえば9月に有名インフルエンサーの女性が“売春”を疑われ、入国拒否されたニュースが話題になったのを覚えている人もいるだろう。実は、こうしたケースが最近増えているが、日本で入国審査を行うことで同様のトラブルが解消される可能性が高いという。
「審査自体が緩くなるわけではありませんが、日本語を理解する職員や日本人スタッフを配置することが予想されます。入国拒否に遭った女性の中にはパニックになり、英語に不慣れなこともあって上手く説明できなかった人もいたと聞きます。日本で入国審査を行うというだけでも安心感があるはずです」(同)
どうせならハワイだけと言わず、米国本土への渡航も事前入国審査にしてほしいものだ。