「別室に連れていかれ尋問され、完全に犯罪者扱いでした。日本人をターゲットにしているのがミエミエ。最初から派手な子はすべて日本に返すのが目的としか思えない対応でしたね」
そう語るのは先月観光でハワイに出掛け、入国審査で警察官の質問攻めにあい、数時間も拘束された挙句に入国を拒否されて強制帰国させられてしまったという女性だ。近年、彼女のように観光目的でハワイを訪れた若い日本人女性が、入国できずに強制帰国となるケースが激増しているというのだ。トラベルライターがその理由を解説する。
「ハワイはコロナ禍で観光客が激減。往来が自由になってからは、以前と同様、日本人観光客を積極的に受け入れていたんです。ところが円安の影響もあり、観光目的ではなく、高い報酬を目当てに日本からハワイへ出稼ぎに行く日本人女性が急増。しかも、中には売春目的の女性もいて、結果、今年に入ったあたりからアメリカの入国審査が極端なほど厳しくなったのです」
現在、米国はビザなし渡航の場合、事前にネット上で渡航認証(ESTA)を受ける必要があるが、冒頭に紹介した女性もむろんESTAの認定を受けており、帰りのチケットも取っていた。ところが、入管では「あなたESTAだけでは、ハワイに入れません!」と取り付く島もなかったという。トラベルライターによれば、入国審査については、あくまでも係官の判断次第であり、絶対的基準が存在するわけではないものの、
「別室扱いになるケースで多いのは、1人で入国していること。あとは、宿泊先が知人宅など曖昧だったり、滞在期間に比べ服が多すぎるといったことがあげられます。加えて、年齢に合わないような高級ブランドを身に着けていたり、バッグ、時計などもチェックしていると聞きます。つまり、ぶっちゃけ見た目で判断されるということです」(同)
日本人の若い女性たちによる出稼ぎはハワイに限ったことではなく、ロサンゼルスやラスベガス、ニューヨークへも広がりを見せている。そのためアメリカ移民局が目を光らせ、アメリカ全土でこういった高額報酬を目的とした出稼ぎを疑われ、入国拒否される日本人女性が後を絶たないという。
「SNS上には、日本人女性をターゲットにした『パパ活』系の海外アルバイト募集が散見されますからね。当局としても、なんとか水際で入国を阻止したい。その結果、純粋に観光を楽しむ目的でアメリカを訪れた女性たちまで強制送還され、おまけにチケット代が無駄になるどころか、帰国の際には格安航空券は使えないとして正規料金の支払いを求められたあげく、予約済みのホテルのキャンセル料も払わなければならないケースもあるのです。しかも一度入国拒否されるとブラックリストに載り、向こう10年間アメリカへの入国が禁止になる可能性もある。もはや、ウェルカムの時代は遠い昔の話で、自国の利益にならない人間を受け入れる必要はない。それが国際社会のスタンダードになっているわけです」(同)
いまや「サイトシーイング」だけでは通用しない。今後、海外旅行に行く際には、事前に入国審査のトレーニングが必要かもしれない。
(灯倫太郎)