大麻グミは序の口!大麻ドリンクにサプリメントまで…市場規模は700億円、タイで「大麻ビジネス」急拡大

 11月に入り、東京や大阪でグミを食べた人たちが体調不良を訴え、救急搬送された問題を受け、厚労省の麻薬取締部は17日、東京・大阪のグミ販売店計5店舗に立ち入り検査を実施。結果、都内1店舗から指定薬物に近い毒性のある成分が見つかったことから、麻薬取締部は薬機法に基づき、鑑定結果が出るまでの間は販売停止するよう命令を出した。

「今回の件を重く見た厚生労働省は専門家部会を開き、22日にもこの『大麻グミ』を医薬品医療機器法薬物に指定するとしていますから、早ければ12月2日からは、所持や使用、流通が禁止されることになるでしょう」(社会部記者)

 今回問題になった法規制されていない成分の「HHCH(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)」は、大麻そっくりに作られた合成化合物だが、実は海外には本物の大麻を使用したグミが白昼堂々と売られている国が存在する。それが2021年1月に大麻草の栽培と加工・販売が解禁され、3月には栄養補助食品や飲料などへの添加が認可された、タイだ。

「タイでは、14~18世紀のアユタヤ王朝期時代から多種多彩なハーブが伝統薬として用いられ、食品への添加も一般的に行われてきました。しかし、大麻については麻薬汚染の広がりを受け政府が規制を強化、大麻の使用・栽培は厳しい規制下に置かれていました。ところが、大麻を医療目的に使用する世界の流れを受け、また医療界からの要望もあり、2018年には医療用大麻が合法化。加えて『大麻解禁』を掲げた政党が与党入りしたことで、22年6月に禁止薬物リストから大麻が除外され、製品の自由化が急ピッチで進むことになったのです」(同)

 現在タイでは、大麻ビジネスにさまざまな異業種からの新規参入が後を絶たず、市場は大盛況。現地のシンクタンクの試算によれば、タイの大麻ビジネス市場は7億ドル(約710億円)にも上る。政府としても捨て置けない大きな産業となり、そうした背景が拡大の要因になっているようだ。

「実際タイ市内には、一見コンビニを思わせる大麻専門店が多く点在し、グミのほかにもクッキーやケーキ、大麻ジュースなどが低価格で販売されています。大麻成分は、スナック菓子やシリアルといった食品だけでなく、サプリメントや栄養飲料などへ添加することが簡単なため、最近ではマッサージ用クリームやフェイスパック、ボディオイルといった美容関連商品や睡眠をサポートする機能性飲料までに広がり、それらの製品が専門店だけでなく普通にコンビニからレストランなどの店舗で扱われています」(同)

 日本人も現地での購入、飲食は可能。だが、むろん土産として持ち帰れば違法物として没収、最悪の場合逮捕される可能性があることを忘れてはならない。

(灯倫太郎)

*写真はイメージです

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