岸田自民には任せられない「日本保守党」大研究(6)国政復帰に「南無阿弥陀仏」

 上々の船出を果たしたかに見える日本保守党には、今後、何が求められるのか。井上トシユキ氏が語る。

「今のところ日本保守党は、支持者、党員の確保という政界での陣地拡大を主目的としているように見えます。日本の現状に不満を持つ人が顕在化し、それが思っている以上にたくさんいた、ということが結果としてわかりました。今は、いわゆる『バズッた』状況。ですがどんな政治家でも現実問題として、政治的な中間点、落としどころが求められるようになるはずで、どうやってみずからの言ったことを回収できるか、支持者を満足させられるか、その手腕が問われるでしょう」

 理念倒れで終わらないよう、広げた風呂敷をどう畳むのか。経済ジャーナリストの荻原博子氏は、専門とする経済面の政策に注文をつける。

「日本保守党はすでに失敗しているアベノミクス推しであろうと思われ、現時点で過度の期待は持てません。『ろくな経済政策が出せないままの岸田政権よりもマシ』ではいけないんです。これも本来は与党と野党の議論が交わされてしかるべきですが、働く人や生活者の立場から政権に対峙していく野党に気概がなく、このままでは保守がどんどん元気になり、戦前の日本に舞い戻ってしまうのではないか、という不安すら感じます。野党よ、危機感を持て! と言いたいですね」

 与野党ともに国民からの信頼を失うことになった令和の日本で、日本保守党は泡沫で終わるのか。それとも強烈なカウンターパンチを繰り出し、とこしえの一大勢力へと成長を遂げていくのか。

 最後に、「総理を狙う男」に今一度、日本保守党と減税日本の気概を問うた。

「わし個人が国政に復帰してもう一度総理を狙うのか、という質問には、『南無阿弥陀仏』と答えさせてちょーや。衆院選がいつあるのかわからんし、市長選が先に来るかもしれんしね。神仏のみぞ知る、というところです。百田さんは『河村さんが総理になるなら、私も狙う。2人で党首選やりましょう』言っとるけどね(笑)。ただ言えるのは、百田さんはそれこそ特攻隊の小説『永遠の0』(太田出版)を書いたぐらいですから、わが身を顧みることなく『今の自民党はどうにもならん』と行動に移した人。有本さんも同じですよ。ジャーナリストとして大成しとるのに、わざわざ政治の世界に飛び込んだ。『身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ』という言葉がありますが、わしも含めてみんな、今後も命がけで進んでいくつもりですわ」

 澱んだウソに包まれた政治の世界に風穴を開けることを期待したい。

(了)

*「週刊アサヒ芸能」11月23日号掲載

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