岸田自民には任せられない「日本保守党」大研究(4)「アンチ岸田」の受け皿に

 10月17日に開かれた日本保守党の結党記者会見で明かされたビッグサプライズ。それは現名古屋市長と百田尚樹代表との“共闘宣言”だった。アサ芸は党の共同代表となった河村たかし氏にインタビュー。地域政党「減税日本」との親和性、独自の教育改革から国政復帰の可能性まで語り尽くしてもらった。

 今夏、「百田新党」として立ち上げの動きを見せていた日本保守党だったが、新聞やテレビなど既存のマスメディアは、ほとんど存在を無視するかの如く、頑なに報道しなかった。

 そこでベストセラー作家である百田尚樹代表と、ジャーナリストとしてメディアと対峙していた有本香事務総長が選択したのが、X(旧Twitter)やYouTubeなど、マスにおもねることなく自身の発信力を生かせるネットメディアを活用することだった。ITライターの井上トシユキ氏が解説する。

「NHK党(現・みんなでつくる党)が活動を開始した13年から、政党が支持者獲得にインターネットを利用するケースが増えてきました。これは同年からネット選挙が解禁されたことを考えれば当然の流れで、日本保守党が政治活動のツールとしてネットを選択したのも、戦略に基づくものだったはず。特に日本保守党のような独自の政治主張は、中立性や公共性が求められるテレビや新聞、またはいわゆるドブ板的な活動よりもむしろ、規制なく言いたいことが広く届けられるネットの方が強烈な支持者を得やすいですから」

 効果は絶大で、政党の公式Xフォロワー数は今や政界最大の33万人。近年結党して同様のネット戦略を取っている参政党やれいわ新選組にダブルスコア以上の差をつけている。経済ジャーナリストの荻原博子氏は、一気に支持者を伸ばした理由をこう分析する。

「私個人としては、考え方に相いれない面も多いですが、ただ、優柔不断でとりとめもなく、政策も曖昧で誰にでもいい顔をしようとする現政権にNOを突きつけた--という意味ではスタンスがはっきりしているだけに、『安倍自民』は支持しても『岸田自民』は嫌だ、という人の受け皿になっていると思います。本来なら野党がアンチ岸田をアピールして政権批判しなければならないのに及び腰、腰砕けで、正面切って戦う姿勢を見せていない。保守の中でも旗幟鮮明な日本保守党にアンチ岸田票が集まりそうだ、というのは皮肉な話だと思います」

 そこに来て繰り出されたのが、地域政党・減税日本代表の河村たかし名古屋市長との連携、両党の「特別友党関係」の発表だった。河村市長は百田代表と並ぶ共同代表に、そして減税日本の広沢一郎副代表は日本保守党事務局次長に就任した。

 河村市長は百田代表と、19年「あいちトリエンナーレ」に端を発した大村秀章愛知県知事のリコール運動で共同歩調を取っており、有本事務総長とも取材を通じて十年来の知己を得ているという。

 しかし、ただ応援の姿勢を表明するだけではない。新党の共同代表ともなれば、それはもはや一心同体の関係と言っても過言ではないだろう。連携の裏にはどんな動きがあったのか。

(つづく)

ライフ