「2人は(他の高校生内野手よりも)少し抜けている」
これは夏の甲子園大会中、巨人・水野雄仁スカウト部長が発したコメント。8月12日の第4試合・聖光学院対仙台育英の試合を視察した時に出たもので、「2人」のうちの一人とは、仙台育英の遊撃手・山田脩也を指していた。そしてもう一人とは、上田西の遊撃手・横山聖哉のことだ。
同日に試合のなかった学校の選手名が出るということは、巨人は高校生野手ではトップクラスの評価をしていると見て間違いないだろう。
「どの球団も高校生野手では、横山と上田の2人に二重丸をつけています。上田は身体能力の高さがウリの堅守のスラッガー、横山は強肩、長打の遊撃手です」(アマチュア野球担当記者)
甲乙つけがたいが、1年生から有名選手だった山田に対し、横山はスカウトを良い意味で困らせた選手でもある。
「横山は2年生の秋ごろから体が大きくなって、打撃スタイルも変わりました。俊足巧打のタイプから、長距離タイプになったのです」(在阪球団スカウト)
食生活の見直しもあったそうだが、リードオフマンからクリーンアップタイプに“進化”し、横山の評価が急上昇。各球団スカウトは「初志貫徹か、それとも…」と悩み始めたそうだ。
また、このころの巨人のショートは坂本勇人が守っていた。大卒ルーキー・門脇誠も活躍していたが、「三塁・坂本、遊撃・門脇」の布陣となったのは9月7日だ。
巨人も「横山か、山田か」で悩んでいたわけだが、門脇が遊撃手のレギュラーとして固定されるのであれば、今年のドラフト会議では高校生内野手の指名を見送る可能性もある。
「横山、山田ともにどこでも守れますよ。2人とも打撃センスは高いし、『サード坂本』の後継者にもなれます。外野もできるはず」(前出・アマチュア野球担当記者)
山田は右打ち、横山は左打ちだ。長野県の高野連関係者によれば、横山のもとには12球団全てから調査書が届いているという。大学生の好投手の抽選に外れたチームが将来性に切り替えて、近未来の中軸打者を1位指名する可能性は高い。
(飯山満/スポーツライター)