「数日間眠らずに戦える」ハマス兵士が使用する「戦闘麻薬」のヤバすぎる正体!

 パレスチナとイスラエルの死者が双方で5500人を超えたとされる中、現在もなお、イスラエル軍とイスラム系武装組織ハマスによる、全く先行きの見えない戦闘が続いている。

「戦争状態」が突如として始まったのは10月7日だった。ガザとの境界にあるイスラエルで開催されていた野外音楽フェスティバルの会場を、パラグライダーやバイクに乗ったハマス戦闘員が奇襲攻撃したのだった。これにより、イスラエル側に250人の死者が出た。

 ところが、この残虐行為の裏に、ハマス戦闘員たちが使っていた「ある薬物」の存在があった、と19日付のイスラエルメディア「チャンネル12」が報じ、新たな波紋が広がっている。軍事アナリストが解説する。

「イスラエル軍が、死亡したハマス戦闘員らを検死したところ、体内から『カプタゴン』というアンフェタミン系興奮剤フェネチリンを含む薬物が見つかったというんです。カプタゴンを使用すると数日間眠らなくても疲れを感じることがなく、精神を高揚させ、恐怖心を抑えて自分は無敵だと思わせることから『戦闘麻薬』とも呼ばれるほどです。過去には多くのIS戦闘員がテロ攻撃前に使用し、『イスラム国(IS)麻薬』あるいは『ジハード(イスラム聖戦)麻薬』と名付けられたこともあります」

 チャンネル12によれば、このカプタゴンが戦闘員の遺体や着衣のポケット、財布等から大量に発見されたという。だが、実は今、このカプタゴンが中東諸国で蔓延し、犯罪の急増や、治安悪化の原因として、大きな社会問題になっているのだ。

「カプタゴンはもともと、ドイツで睡眠障害やうつ治療を目的に使用されていた薬なんですが、あまりにも依存性が高いことから、80年代には本国での製造販売が禁止されています。結果、ブルガリアやトルコなどに製造地が移り、最終的にレバノンとシリアが製造拠点になった。周知のようにシリアは内戦下ですが、現在、カプタゴンの製造拠点がゴラン高原などアサド政権支配地に集中していることから、アサド政権が配下のイスラム教シーア派武装組織ヒズボラ使って密輸しているとして、中東ではシリアを『カプタゴン帝国』と呼ぶ国も少なくないのです。それが、ヨルダンやエジプト、イランなどを経由して中東各国に流れているといわれています」(前出・アナリスト)

 ドイツが製造を中止したことで、一時はヨーロッパの「市場」が縮小していたものの、最近は中東発の密売ネットワークの拡大により、ヨーロッパ市場が再び活性化する危険性も指摘されている。

 イスラエルとハマスの戦闘に加え、薬物汚染の拡大もはらんだ中東問題。解決の糸口はいまだ見つからないのが現状だ。

(灯倫太郎)

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