今オフの主役は「捕手」だ。
石井一久監督の退任が決まった東北楽天の捕手、炭谷銀仁朗が球団から戦力外通告された。これで、球界の捕手における「需要と供給のバランス」が崩れてしまった。
「今季、FA権を取得した捕手はオリックスの若月健矢、広島の磯村嘉孝、DeNAの戸柱恭孝です。巨人の小林誠司も出番が少なくなり、放出要員と目されていますね。昨年は捕手が3人も移籍しており、シーズン中に日ハムと中日の間で捕手を含む交換トレードが成立しました。若月たちが権利行使すれば、守備面を強化したいチームは必ず動くと見られています」(球界関係者)
楽天はコーチなどのポストを提示したそうだが、炭谷が現役続行を希望。新天地を模索することになったという。
「炭谷は侍ジャパンの経験もあります。その炭谷がこのまま退団となれば、FA権で移籍する捕手よりも『お手ごろな値段』で交渉できるでしょう」(前出・関係者)
だが、炭谷は来季37歳になる。年齢面で悲観的な見方をする声も聞かれたが、FA組を含めた捕手たちの去就は10月26日のドラフト会議の結果次第でもあるようだ。
「大学生ナンバー1と言われているのが、上武大学の進藤勇也。でも、打撃面はいまひとつなので、高校生捕手の指名を考えている球団もあります。高校生捕手を指名するのであれば、彼らが一軍戦力に育つまでの間、30歳前後のFA組の捕手に働いてもらう構想となりますね」(ベテラン記者)
セ・リーグVチームの阪神も梅野隆太郎が32歳、坂本誠志郎が30歳のため、次世代の捕手を今秋ドラフト会議で指名するという。巨人も阿部慎之助新監督が「捕手の補充」を編成に要請したそうだ。
「正捕手と2番手以降のレベルの差を嘆く球団も少なくありません。磯村らがFA権を行使したら、確実にアタックするでしょう。巨人が進藤の視察に熱心なのも気になります。やはり小林を放出するつもりなのかもしれません」(前出・関係者)
西武はFA退団した選手の帰還にも寛大になった。かつてのドラフト1位、炭谷を放っておくとも思えない。
ドラフト、FA、トレード…今オフは捕手の大移動がありそうだ。
(飯山満/スポーツライター)