パレスチナ地域を実効支配するイスラム主義組織・ハマスのイスラエル襲撃では、アメリカを筆頭とした西側諸国はイスラエルを支持しているが、中東のシリアやカタールはハマスを支持。一方、中露は目立った動きを見せていない。
そんな中、明確に反イスラエルでハマス支持を打ち出しているのが北朝鮮だ。
そして、この北朝鮮の動きを見た韓国が今、大騒ぎになっているという。
「例えば韓国で最大発行部数を誇る『朝鮮日報』は、『北韓が数千発のロケット砲で最も近い韓国の島・ペクリョンドの占領に乗り出すというシナリオを荒唐無稽なものとは言えない』という見解を社説で論じました。あたかも北朝鮮が今回のハマス同様の奇襲攻撃を、規模をより大きくして韓国に仕掛けてくる、とセンセーショナルな論説を打ち出したのです」(社会部記者)
では、なぜ北朝鮮は奇襲攻撃を仕掛けてくるのか。主な理由は3つあるという。
「まず、『天井のない監獄』と言われるガザ地区が、イスラエルと囲い1つでしか隔てられていない状況と、38度線で南北が分けられているという北朝鮮と韓国の地理的関係が似ていることが挙げられます。2つ目は、ハマスがイスラエル襲撃で用いたミサイルが北朝鮮製であったこと。これについては北朝鮮は否定していますが、アメリカの軍事専門家らは『北朝鮮製の可能性が高い』と指摘しています。そして3つ目は、その北朝鮮製とされるミサイルがイスラエルの『アイアンドーム』という防空システムを突破したということです。実は、韓国の尹大統領はこの防空システムと似た『韓国版アイアンドーム』を26年までに初期配備する公約を掲げているのです。つまり、今回のハマスの襲撃成功で、同じことが韓国に対しても実行可能だということがほぼ証明されたというわけです」(前出・記者)
韓国にとって中東の紛争は、対岸の火事とはとても言えない状況のようだ。
(猫間滋)