かねて社会問題となっている学校や職場でのいじめ。これは我が国に限ったことではないが、先日フランスで実施された大胆ないじめ対策が大きな話題となっている。
9月18日、パリ郊外のアルフォールヴィルの中学校の教室に警察が入り、同級生に執拗ないじめを繰り返し行っていた14歳の男子生徒を逮捕。その場で手錠をかけて連行したという。
「このニュースは現地でも大きく報じられ、学校関係者や保護者からは『わざわざ授業中に逮捕する必要があったのか?』との批判の声も上がっています。ただし、政府のベラン報道官は20日の会見で今回の措置が一種の見せしめであったことを否定せず、『まん延するいじめを撲滅する手段』と主張。フランス国民も概ねこれを支持しています」(大手紙記者)
ちなみにフランスでは学校内でのいじめで被害者が自殺した場合、加害者には最高で禁固10年、自殺未遂でも3年以下の禁固刑とする「いじめ新法」を22年3月から施行。いじめ加害者を処罰する法律を制定したのはもちろん、ここまで厳罰化したことに世界中の教育関係者からは驚きの声が上がっている。
「移民大国のフランスは日本以上にいじめが多く、命を絶つケースも後を絶ちません。そのため、この新法に関しては世論が後押ししています。さすがに日本で導入するのは無理だと思いますが」(同)
だが、ネット上では《抑止力としても期待できる》《いじめは犯罪であるという認識を徹底させる意味で有効》など支持する声が多数を占めている。
賛否はあるにせよ強い覚悟を持っていじめ問題に取り組んだフランスに対し、いじめの認知件数が過去最高を記録する中、未だ具体策を講じることができずにいる日本。少なくともその強い姿勢は見習うべきだと思うが…。