侍ジャパン・山本由伸「失点」と「新フォーム」の裏に深イイ話

 侍ジャパンが福岡ソフトバンクホークスとの壮行試合2連戦を終え、山本由伸投手のピッチングスタイルに注目が集まっている。

 山本は3回を投げ、失点2。初回と3回は抑えたが、2イニング目は味方野手の失策もあって先制点を許してしまった。2年連続最多勝、本来の山本ならば「0点」に抑えてもおかしくなかった。

 注目ポイントは2つ。3回を投げ、2イニング目に失点し、3イニング目にまた立て直したこと。侍ジャパンをサポートするNPB関係者がこう説明する。

「今回のワールド・ベースボール・クラシック(以下=WBC)も、MLBルール同様、自軍の攻撃中にベンチ前でのキャッチボールは禁止となります。山本も『キャッチボールなし』で2回、3回を投げました。でも、3イニング目はマウンドに上がるまでの間、ボールを触りながら指先の感覚を保っていました」

 WBC本番を見据えたテストだろう。

 また、マイナーチェンジさせた新・投球フォームも話題になっている。

 山本は左脚を上げる高さを、かなり低くしている。もともと軸足となる右脚に“タメ”を作らず、スッと前に流れていくような投げ方だった。左脚を上げる高さが低くなったことで、前方への流れが加速した感もある。

“タメを作らず、左脚も気持ち程度しか上げていないのに、ナゼあんなに速いボールが?”と首を傾げる声もあったが、前出のNPB関係者によると、

「いや、その小さな動作のなかで、タメと体重移動ができているのです」

 とのこと。侍ジャパンのピッチャーたちも、この日の山本のマウンドにまじまじと見入っていたそうだ。

「佐々木朗希は左脚を胸の高さまで上げ、その勢いで160キロを出しています。山本の投球フォームとはあまりにも対照的です」(同)

 ダルビッシュ有の「浮き上がるような軌道から曲がるスライダー」を教わろうとする投手もいた。WBCは“技術交換”の場でもあるようだ。

(飯山満/スポーツライター)

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