過疎地の個人タクシー80歳まで容認 免許の自主返納呼びかけと真逆の方針はナゼ

 国土交通省は、新たに過疎地などでの個人タクシーの営業を認め、運転手の上限を80歳までに拡大する方針を明らかにした。運転手不足によるものだが、高齢での運転は危険とする声が相次いでおり、ライドシェアを解禁しないことに疑問の声が上がっている。

「これまで個人タクシーは人口がおおむね30万人以上の地域で、原則75歳までの営業を認めてきました。しかし、過疎地では深刻な運転手不足になっていることから、個人タクシーの営業を認め、運転手の上限も80歳まで拡大する方針です。営業するためには1年以上の個人タクシー経験が必要で、75歳以上の場合は地域の法人事業者が体調面などをチェックするといいます」(社会部記者)

 この方針には疑問の声も多く見られ、実業家の堀江貴文氏も自身のYouTubeチャンネルで80歳は運転免許証をほとんどの人が返納しないといけないような年齢であることから「ぶっちゃけ怖い」と語り、過疎地でのライドシェア解禁が必須であると訴えた。また、同じく実業家の青汁王子こと三崎優太氏も自身のX(旧Twitter)で「明らかに人手不足で高齢者雇用に依存してる」と指摘し、安全を優先すべきで、そうでなければ本末転倒であると訴えた。

「近年では高齢ドライバーによる交通事故が増えており、特に75歳以上の死亡事故が多く起きています。こうした背景を受けて、警察庁や都道府県警察は高齢ドライバーの運転免許の自主返納を呼び掛けているのですが、そんな中で国土交通省が80歳までタクシーの運転を容認するという真逆とも言える方針を取るのはいかがなものでしょう…。いくら業界団体が反対しているとはいえ、まず過疎地は特例という形でもライドシェアを試験運用した方が安全で効率的に思えますが…」(交通ジャーナリスト)

 過疎地に高齢者ドライバーが押し寄せて、事故が急増したなんてことにならなければいいが…。

(小林洋三)

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