阪神・伊藤将司が惜しくも逃した“マダックス”って何だ!?

 9月3日、阪神は神宮球場で行われたヤクルト戦に7-1で勝利。先発した伊藤将司投手はチームトップにならぶ9勝目を完投勝利で飾った。3完投はリーグトップタイの記録だ。

 伊藤はこの日、味方打線の序盤からの大量援護をバックにスイスイと快投を続け、被安打わずか5で無四死球。失点1に抑えて余裕の完投勝利。9回一死から代打・赤羽由紘にプロ入り初となる一発を浴び、惜しくも完封勝利は逃している。

「伊藤が逃したのは、単なる“完封勝利”ではありません。NPBでも年間に数回しか達成されない“マダックス”を逃してしまったのです」(スポーツ紙デスク)

 試合後、ネットニュースには「惜しくもマダックス達成ならず」といったタイトルが躍ったが、果たしてマダックスとは何なのか? 先のスポーツ紙デスクが解説する。

「マダックスとは『投球数100球未満で完封』すること。1986年から2008年までメジャーリーグで355勝を挙げた大投手、グレッグ・マダックスにちなんでいます。2012年にアメリカの記者が命名した比較的新しい用語ですが、マダックス自身は生涯13度のマダックスを達成しています。マダックス投手は奪三振にはあまり重きを置かない“打たせて取る”投球スタイルが身上。『27球で27個のアウトを取るのがベスト』というのが持論でした。投手のタイトルである最多勝、最高勝率、最優秀防御率をそれぞれ複数回達成していますが、奪三振王はゼロ。ここにマダックスの特徴が表れています。ちなみに日本では多い年で年間4回、達成者ゼロの年もあります。今年はDeNAの東克樹が4月30日の中日戦でマダックスを達成(97球)していますが、阪神では21年に髙橋遥人投手が記録して以来のチャンスでした」

 伊藤はこの日、本家・マダックス投手同様に打たせて取るピッチング。内野ゴロとフライの山を築き、奪三振はわずか3。しかも、90球未満でのマダックスという凄い記録を目前で逃してしまったのだ。

「記録達成とはならなかったものの、90球という省エネ投球でブルペンを“完全休養日”にした功績は大きい。チームは今週、余力を持って戦えそうです」(前出・スポーツ紙デスク)

 今週は中継ぎ陣が力を発揮しそうだ。

(石見剣)

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