東京電力福島第一原発の処理水放水を受けて、中国で「反日運動」が高まっている。中国本土からは日本の飲食店への嫌がらせの電話が殺到し、ネットメディアでは関連動画がアップされている。
そんな中、9月3日放送の「日曜報道 THE PRIME」(フジテレビ)で視聴者の注目を集めたのは、アメリカのエマニュエル駐日大使の発言だった。8月31日、エマニュエル駐日大使は福島県相馬市を訪問し、立ち寄った直売所で福島県産の魚介を購入。カメラに向かって「こんなことを言うと問題になるかもしれないが…」と前置きしてこう語った。
「習主席が中国の魚に自信があると言うなら、プーチン大統領に中国の原発付近で取れた魚を食べてもらうといい。その時は私のおごりだ」
さらに番組では9月1日に行われた単独インタビューの映像を公開。「アメリカは中国の主張をどう見ていますか?」というインタビュアーの質問に、エマニュエル駐日大使は「日本と中国は対照的」として、日本はモニタリング結果を完全にオープンにしていると評価。そのうえで、中国に対してはこう語った。
「何百万人もの人々が命を落とした新型コロナウイルス。中国は何をしてくれましたか?発生から3年経った今なお、彼らは国際機関を国に招き入れず、WHOですらすべての情報を持っていない」
その後、中国の沿岸部には4つの原発があり、日本よりも5倍も高いレベルの処理水を放出していると指摘。「日本の基準に合わせるなら、中国は今日にも原発を停止しなければならないでしょう」と、中国の対応を批判した。
エマニュエル駐日大使の発言に、SNSでは《激しく同感します》《エマニュエル駐日大使みたいな政治家は日本にいないのか》《日本の政治家より漁業関係者に寄り添ってる印象》といった反応が寄せられていた。
「エマニュエル駐日大使が福島を視察して、福島産の魚介を食べて安全性をアピールした8月31日、官邸では野村哲郎農水大臣が記者団とのやり取りの中で、処理水を『汚染水』と言い間違える痛恨のミスをおかしてしまいました。野村大臣は謝罪し、発言を撤回しましたが、各界から『謝罪では済まされない』と批判の声があがっています。一方、処理水をめぐる中国の対応について、エマニュエル駐日大使は新型コロナウイルスを引き合いに出して猛批判していましたが、前政権のトランプ大統領(当時)も調査を拒否した中国に怒りの声を上げていたのは有名な話。全世界で600万人以上の死者を出した新型コロナの”震源地“が中国であることを改めて認識させられました」(国際ジャーナリスト)
ともあれ、ネットの反応を見る限り、エマニュエル駐日大使の発信力は、多くの日本の政治家より優っているかもしれない。