藤浪晋太郎は変わらないでいてくれ!
ア・リーグ東地区の首位に立つオリオールズにアクシデントが起きた。クローザーのフェリックス・バティスタが右ヒジの靱帯を痛め、15日間の負傷者リストに入ることになった。
「代理クローザーは中継ぎのイェニエル・カノとダニー・クーロムが務めますが、バティスタの代わりとなるとどうか…。バティスタは103マイル以上(約166キロ)を投げ込んでくる剛腕ですよ。103マイルと対戦しないで済むと思うと、対戦チームは気持ちの面で優位に立てます」(現地メディア)
一部報道では「藤浪も代理クローザーを務めるのではないか」との予想もあった。藤浪も100マイル以上を投げ込む剛腕だ。しかも、デッドボールの危険があるから、バティスタとは異なる脅威もある。
しかし、当の藤浪は大谷翔平を彷彿させる投球を見せている。「スイーパー」を多投したのだ。
現地時間8月23日のブルージェイズ戦だった。4番手で登板した藤浪は、21年本塁打王のゲレロを始めとする相手打線の中軸打者たちから3者連続三振を奪ってみせた。この好投の秘密兵器となったのがスイーパーだ。
「試合後、藤浪にスイーパーのことを聞いたら、『元々投げられたんだ』と話していました」(前出・同)
相手打線に「藤浪がスイーパーを投げる」という情報がなかったから、よく決まった。当の藤浪は、「もうちょっと精度が高くなればいいなあと思いますけど。狙うところだとか」と、ご満悦の表情だったそうだ。
「藤浪がスイーパーを投げられたのは本当ですが、試合で使ったのは初めてではないかと思います。『新しいことをテストした』ともコメントしていたので」(前出・同)
だが、スイーパーについて、ひとつの仮説が出ている。大谷の右肘靭帯損傷に何かしらの影響があったのではないか、と。スイーパーは曲がり幅の大きいスライダーとも解釈されている。実際に握り方は似ているが、スイーパーはさらに親指を内側に持っていくので、「捻る」動きが大きくなる。
「大谷はスイーパーを投げる際、腕の振りがやや横になっていたとされ、ほかの球種と異なる投球フォームがバレてスイーパーを狙い打ちされてしまいました。スイーパーの投球量を減らしたのは『狙い打ち』と『やや横振りになるために生じる肩、肘への負担』と言われています」(米国人ライター)
新しい球種を覚えれば、ピッチングの幅が広がる。しかし、リリーバーとして短いイニングを任されている今の藤浪にとって、本当に必要なことだろうか。移籍後、好調なだけに自分を見失ってほしくないものだ。
(飯山満/スポーツライター)