中国国営メディア「処理水放出すればゴジラが出現する」警告の根拠

 日本政府はいよいよ東京電力・福島第一原発の処理水を24日から海洋放出する。原発の処理水を巡っては、国内外から不安の声があがっていたが、なかでも中国は今回の政府決定に怒り心頭で、中国外務省が垂秀夫駐中国大使を呼びつけ直接抗議している。

「中国外務省は『深刻な懸念と強い反対を表明する』として、日本側が『海洋放出に踏み切れば中国政府は食の安全を守るため必要な措置を取る』と、輸入規制強化をチラつかせています。一方、垂大使は『EUなど諸外国は日本産食品の輸入規制を撤廃している』として、科学的根拠に基づかない主張は遺憾としながらも、引き続き粘り強く対話していく意向を示しています。とはいえ、中国がいったん上げた拳を簡単に下ろすことは考えにくく、水産物の輸入規制強化が懸念されます」(中国ウォッチャー)

 農水省によれば、昨年の日本における水産物輸出は中国の871億円がトップ。2位が香港の755億円と続くが、両地域で輸出額全体の4割を占めており、海洋放出により中国側から輸入制限がかかれば、日本にとって大きな損失になることは間違いない。

 そんな最中の23日、中国国営英字紙「グローバルタイムズ」が、処理水放出を決定した岸田政権に対し「ついにパンドラの箱を開けた」とし「全世界の生態環境破壊だけでなく(遺伝子組み換えによる)現実版ゴジラが登場することもあるという懸念が、世界の大衆の間で出ている」という根拠不明な記事を掲載。SNS上ではさっそく《えっ、まさかのゴジラ出現か》《世界の大衆って誰が言ってるの?》と突っ込まれまくっている。

「映画の中のゴジラは深海で生き延びていた約1億4000万年前の恐竜で、それが度重なる核実験によって眠りから覚め、核エネルギーを全身に充満させた巨大怪獣となって人類に襲いかかる、という設定です。放射能による影響をアピールするにしても、飛躍し過ぎだろうという話です。ところが中国外務省の報道局長は数年前から『日本は福島の核汚染水を太平洋に放出してゴジラを生み出そうとしているのか』と大真面目にツイートし、警告してきました。ネガティブキャンペーンなのでしょうが、他国にはいまひとつ響いていないようですね」(同)

 日本政府としてはこれまで通り、水や海のデータを正確にモニタリングして公開し続けるしかないというが、理屈が通らない隣国に政府首脳も頭を痛めているようだ。

(灯倫太郎)

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