イタリアンレストランチェーンの「サイゼリヤ」は7月10日、これまで使い放題だった粉チーズ(グランモラビア)の無料提供を終了すると発表した。同チェーンは値上げしない方針を貫いており、利用客からいっそうの支持を集めているが、粉チーズの無料提供終了を受けて一部からは値上げを望む声もあがっている。
「サイゼリヤでは、サービスコーナーに粉チーズや唐辛子フレーク、オリジナルホットソースなど無料の調味料が用意されていますが、今年4月頃にSNSで一部の客が大量に使用することから粉チーズの無量提供を廃止するという情報が出回りました。その情報に根拠はなかったものの、6月に入ってからグランモラビアチーズのサービス提供終了というポップを見たという報告がネット上に相次ぎ、このたびついに正式に発表されたのです」(フードジャーナリスト)
同チェーンは2023年夏のグランドメニュー改定の中で、テイクアウト販売縮小のお知らせに続いて「粉チーズ(グランモラビア)の無料提供を終了させて頂きます」とわずか一行で説明。今後も気軽に利用し続けてもらえるよう低価格を維持しながら、よりお値打ちに感じられる商品を届けるとしている。
「サイゼリヤは昨年から『プロシュート』や『熟成ミラノサラミ』など人気メニューが次々と販売休止となり、スパゲティの大盛りとおこさまサイズの販売も終了となりました。これらは値上げをしない代償として取捨選択されたものと見られており、利用者の中には『値上げしてもいいから商品を残してほしい』『有料でも欲しい』と希望する人もいます。価格の据え置きによって客数も増え、売上高も前年を上回っていますが、その一方で原材料費の高騰などを受けて2023年8月期の連結業績予想は前期比で約26%減と下方修正されています。このまま原材料の高騰が続けば、価格維持のために採算の取れないメニューや無料提供していたものが削られ続けることになりかねず、サイゼリヤとしては消耗戦を強いられることになるかもしれません」(経済ジャーナリスト)
果たしてサイゼリヤの「値上げしない宣言」はいつまで継続されるのか。我慢の経営が続きそうだ。
(小林洋三)