テレビ中継ピンチでも…サッカー女子W杯の賞金額に優勝メンバーが苦笑い

 7月20日にオーストラリアとニュージーランドで共催のサッカー女子ワールドカップ(W杯)が開幕する。

 12年ぶりに世界一奪還を狙うなでしこジャパンは、7月6日に都内で壮行会を開き、本番モードに突入した。しかし、気がかりなのは国際サッカー連盟(FIFA)が公表した放映権リストに、日本の名前が入っていないのだ。サッカーライターが解説する。

「189地域で放映が決まっている中、大会に参加する32カ国で日本とフィリピン、ハイチの3カ国はいまだに放映先が決まっていません。放映権料の高騰でテレビ局は二の足を踏み、欧州でもギリギリまで難航。ネットの配信も決まっておらず、日本サッカー協会の関係者も頭を悩ませています」

 せっかくの大舞台が日本で見られないとなれば、女子サッカーの人気低迷に歯止めをかけるのは、難しいだろう。テレビ中継のピンチが伝えられる一方で、出場選手を奮起させる好材料も…。7月7日放送の自己検証番組「週刊フジテレビ批評」(フジテレビ系)に、11年のW杯優勝メンバーの岩清水梓(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)が出演した際、話題は今大会の優勝賞金に。

 渡辺和洋アナが11年の優勝賞金が約8000万円、今大会の優勝賞金が約6億1000万円と紹介。さらに、大会に出場すると選手1人に約420万円。優勝したらチームの賞金とは別に約3750万円が支給されることを説明すると、「えっと、優勝したんですけど、そんなにもらっていない」と、岩清水が苦笑いを浮かべる一幕があった。ウハウハの背景には何が起きているのか。先のサッカーライターはこう話す。

「近年、女子代表と男子代表の報酬の差が問題になり、アメリカでは同じ水準の報酬を支払うように裁判も起きています。FIFAも女子選手の待遇改善に着手に乗り出し、19年の前回大会よりも賞金総額は4倍近くに増やしました。一方で、不足分を放映権料で補おうとしたことで、テレビ局にシワ寄せがきてしまったのです」

 痛しかゆしの状況の中、放映の実現に向けてクラウドファンディングで中継の道筋を探る動きもあるが、果たして開幕まで間に合うのだろうか。

(風吹啓太)

※写真は2015年カナダ大会決勝アメリカ戦のもの

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