大量閉店などコロナ禍以前から苦境が伝えられていたドーナツ専門チェーン「ミスタードーナツ(ミスド)」だが、ここにきて売上好調で店舗数も増加傾向にある。コロナや原材料高を乗り越えて復活の兆しを見せている要因はどこにあるのだろうか?
ミスドを運営するダスキンが発表した2023年3月期決算によると、ミスタードーナツが主力のフードグループは売上高が488億7900万円となり、前年同期比で11.6%も増加しているのだ。かつて同社のフードグループは500億円規模の売上があったが、長年に渡り減少を続けていた。しかし、20年に363億円と前年を上回ると21年には366億円、22年には438億円とコロナ禍以降は売上を伸ばし続けている。
それとともに店舗数も増加している。2021年3月期には国内稼動店舗が961まで減少し、4年間で200店舗が閉店していると話題になっていたが、22年度末時点で店舗数は998まで回復。24年度末には1080まで増やす計画で、再びの1000店舗超えも目前に迫っている。
ミスドがコロナ禍以降、好調を維持しているのには3つの理由があるという。
「1つめは、コロナ禍のテイクアウト需要に対応できたことです。もともとミスドは店内飲食よりもテイクアウトの方が利用率が高かったこともあり、店内飲食が避けられる傾向にあったコロナ禍でもむしろ売上の減少を抑えるどころか、増加させることができたのです」(経営コンサルタント)
そして、2つめは若者を中心に到来している第3次ドーナツブームが売上を牽引しているという。これまではアメリカ初のドーナツが主流だったが、日本初の生ドーナツや韓国発のクァベギなどが人気となっていて、ミスドのドーナツにも好影響をもたらしているとか。
「最後の3つめは、原材料高の影響も大きいと思います。ミスドも昨年3月と11月に2度の値上げを実施していますが、それでも多くの商品は100円台で購入することが出来ます。その一方で例えばケーキ屋さんでショートケーキを買おうと思ったら、1つで500円くらいはしてしまいますからね。価格の安いミスドのドーナツにスイーツ需要が集中してきているのです」(同)
このままいけば、来期には売上高500億円回復は間違いないだろう。
(小林洋三)