美川憲一が加齢臭ケア伝授「鼻の横こすって嗅いでごらんなさい、臭いわよ~」

 今週は今でも昭和の大スターと称賛されている、故・美空ひばりさんのお話から始めさせていただきましょうか。

 初めてご挨拶したのは、私が赤坂のナイトクラブでショーを開催した時。お忍びでお越しくださったの。おそらく真夏どき。ショーが終わった直後に、優しく諭されたのよ。

「あなた、お肌がボロボロじゃないの。プロとしてステージに立つ者としての自覚を持ちなさい」と。

 私は30代前半まで、夏は皮膚がむけるほど、毎年真っ黒に日焼けを繰り返していたの。海水浴やサーフィンの聖地と呼ばれている、神奈川県の湘南にまで出かけて行って。

 昔は、夏が来ると肌を日ざしに当てて日焼けするのがブームだったじゃない? 私も例に漏れずだったわ。だから、若い頃の夏場の写真は、肌が真っ黒。日焼けサロンの予約も取りづらいほど、大勢の皆さんが日焼けに力を入れていたわ。

 でもね、ガツンと活を入れられた後、何度かお食事にお誘いしていただいたのに、お応えできなかったの。なぜならすでに、淡谷のり子さんにかわいがっていただいていた時期と重なっていたから。私にとってひばりさんは、子供の時から憧れていた、神様的存在。だからとても残念だったけれど、お断りするしかなかったの。

 元宝塚歌劇団の故・越路吹雪さんのアドバイスも、胸に響いたわ。

「淡谷さんとひばりさんのおふたりにかわいがってもらってる話を耳にしたわ。でも、おふたりともを選ばない方がいいわよ。淡谷さんがヤキモチをやいてしまうじゃないの」と。

 その上、淡谷さんは日本のシャンソン界の先駆者で、ブルースの女王。ひばりさんは幼い頃から、歌謡界の女王として君臨。おふたりとも歌のジャンルが違うでしょう。私は淡谷さんがお勧めしてくださったシャンソンを歌い始めていたから、おふたり同時にご師事はできなかったのよ。越路さんのお言葉で自覚したわ。

 でも、今の自分ならうまく立ち回れたかもしれない。

 話が戻るけれど、ひばりさんにご忠告いただいたお言葉は、今も守っているの。「お肌がボロボロじゃない」とおっしゃられたお言葉を。「日焼けしてはダメよ」とおっしゃりたかったと思うの。

 特に私たち歌手はテレビ番組などに出演すると、顔はもちろん、マイクを握る手もアップで映る職業。手のケアは欠かしたことがないわ。毎晩眠る前に必ず、ハンドクリームをたっぷり塗るの。忘れてベッドに入ってしまったら、眠くても起き上がって塗っているわ。

 朝は必ず湯船に浸かって、夜はシャワーを浴びるのよ。朝、湯船に浸かるのはお化粧ノリをよくするためだけれど、男性の皆様もお時間があれば続けてみることをオススメするわ。お肌が日ごとにツルツルになるわよ~。私のように1日2回を守る必要はないけれど、最低でも1日1回は入って。 どうしてここまで入浴をオススメしたいかというと、私は職業柄、女言葉を使うけれど、恋愛対象は女性よ。芸能界で生き残るキャラクター作りでもあるけど、ステージ上で毒を吐いても、女言葉だとお客様はなぜか笑って受け入れてくださるの。加えて女性は、男性の加齢臭をとても嫌うの。

 一説によると男性は、30代から40代にかけて出始めるらしいの。本格的に発生するのが、50代以降。

 朝、顔を洗う前に人さし指で鼻の横をこすってから、ニオイを嗅いでごらんなさい。皮脂がたまっていて、すっごく臭~いことがわかるはずよ(笑)。耳の後ろ側も臭いわよ~。

 亡くなった私の母がすごくオシャレな人でね。常にほんのりと、いい香りを漂わせていて、色っぽくて。子供ながらに「女性としての魅力がある人だわ」と眺めていたの。だから私は人一倍、ニオイに敏感なのかもしれないわね。

 だからこそ、私は香水の匂いでごまかしたくないの。とにかく、入浴して清潔感を保つことを大切にしている。だからガタガタ言わせていただくわ。夏に向かうと汗で余計に加齢臭は強く臭うようになるから。読者の皆様、入浴を欠かしては絶対にダメよ!

美川憲一(みかわ・けんいち)歌手 1946年5月15日生まれ、長野県出身。1965年、「だけどだけどだけど」で歌手デビュー。現在、ニューシングル「別れてあげる」が好評発売中。

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