美川憲一「歌番組が減ったのは時代の流れかな」/ガタガタ言わせろ!(2)

 地上波の歌番組が激減した件についても、お話ししておきましょうか。個人的には、もう復活しないと割り切っています。

 悲しいけれど、家族全員が一部屋に集まってごはんを食べながら、全員が同じ番組を観るほっこりとした時代は、とうの昔に終わっているわけだし。目まぐるしく流行が変わる時代だし、音楽はスマホ1台でイヤホンで聴く潮流がメイン。衛星放送やネットでの演歌番組にはけっこう出演させていただいていますけれど、視聴者が契約しないと番組を観ることができない。これも時代の流れかな、と。

 地上波での歌番組が減った代わり‥‥と言っては何だけど、コンサート会場に足を運んでくださるファンの方々が増えたのよ。これは、喜びの〝ガタガタ言わせろ!〟かもしれません。

 以前、よみうり大手町ホールで、シャンソンコンサートを開催しました。その前に知人と、神楽坂のお座敷でお食事をした時のこと。お店の女将さんが、常連客さんから聞いたそうです。「美川さんのシャンソンは、人生で一度は聴いておくべき。本当に素敵なのよ!」と力説されたって。

 うれしかったわ〜。やってきたことが報われた気持ちになるほど。今年6月に中野サンプラザでコンサートをしたのですが、2時間半、休憩なし。カンペなしで22曲歌い上げた自分を、改めて褒めてあげたくなりました。私、お褒めの言葉をいただく機会が多々あるのですが、心に染みさせないようにしているの。理由は、聞くほど強気になってしまうから。「私を誰だと思っているの! 美川憲一よ!」って(笑)。

 リタイア後に現役時代のキャリアを自慢するマウンティングも珍しくないそうだけれど、私はそういった人たちのように「あの人は今」という存在になりたくないのよ。

 生涯現役を目指しているので、皆様も過去のキャリアにとらわれず、ともに頑張りましょう!

 そして少し疲れたら、私のシャンソンを一度は聴きにいらしてください。涙を流す人続出よ!

美川憲一(みかわ・けんいち)歌手 1946年5月15日生まれ、長野県出身。1965年、『だけどだけどだけど』で歌手デビュー。現在、ニューシングル『別れてあげる』発売記念キャンペーンを開催中。

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