松本剛明総務大臣は16日、「050」で始まるIP電話について、契約時に本人確認を義務付ける方針を明らかにした。特殊詐欺に悪用されるケースが増えていることへの対策だが、〈さすがに遅すぎる〉と指摘する声もある。
「インターネット回線を使って通話する050で始まるIP電話は、通信会社によってはインターネットで契約できるものもあり、使用端末に制限がなく、SIMカードが不要で通話料金も安く利用できることなどから、現在では900万を超える番号が使われています。しかしその一方で、契約時の本人確認を義務付けていないこともあり、特殊詐欺グループがアポ電の際に使用するなど犯罪に悪用されるケースが増えているのです」(社会部記者)
こうした状況を受けて、総務省は「050」で始まるIP電話についても携帯電話などと同じく本人確認を義務付けることを決めた。今後は契約の際に、個人であればマイナンバーカードや運転免許証の提示を、法人であれば登記事項証明書の提出などが求められる。松本大臣は早ければ夏頃までに省令改正を行いたいとしている。
「ニセ電話詐欺などに050番号を利用する事件は新型コロナウイルスの感染拡大がはじまった2020年から急増し、警視庁によると21年上半期には携帯電話を抜いて固定電話に次ぐ2番目に多くなったそうです。また、050番号は本人確認がされていないものも多いため、転売して取引されることも少なくないといいます。すでに、900万番号以上が出回っている今になって、新規契約に本人確認を義務付けても、正直遅いと言わざるを得ないでしょう」(フリージャーナリスト)
050が特殊詐欺に悪用されないためには、発行済みの番号も含めて対策が必要なのかもしれない。
(小林洋三)