佐藤治彦「儲かるマネー駆け込み寺」知らないと損する「妻の年金」空白期間の埋め方

 毎日のお仕事ご苦労様です。今週は奥さんにも読んでもらいたい年金の話です。

 国民年金は原則として20歳から60歳までの40年間、480カ月支払うことになっています。480カ月支払って満額の老齢基礎年金がもらえます。今年度の満額は79万5000円。まあ、ざっくり80万円ですね。夫婦で160万円。これに会社員として厚生年金を払った人は、払った金額や期間に応じて、報酬比例部分の上乗せがあります。

 国民年金は60歳までですが、厚生年金は70歳まで入ることができ、入っていればその分、どんどん将来もらう年金は増えます。

 さて、学生時代に年金を払ってない人は多いと思います。私もそうですが、60歳以降も厚生年金が出る会社で働くか、国民年金の任意加入という形で、60歳以降も国民年金の掛け金を支払うことで空白期間は埋まっていきます。

 私がよく見聞きするのは、女性が年金の空白期間があることに気がつかず、65歳以降にもらう老後の年金が減ってしまうことです。具体的にお話しします。

 例えばパート勤めをしている主婦の場合、毎年100万円ほどの収入なので、自分自身では国民年金を払わなくていい。そう思っている人は少なくありません。会社員の夫が厚生年金を払っているからです。確かにそうなんですが、ここに落とし穴があります。例外があるのです。

 例えば、学生時代の20歳から22歳まで2年間年金を払っていない場合、24カ月分も払っていないことになり、65歳からもらう基礎年金は5%も減ってしまいます。毎年、ざっくり4万円ほど減る計算になる。30年間だとすると、120万円も減るわけです。

 また、妻が58歳の時に夫が退職した場合、60歳までの2年間は、自分で国民年金を払う必要があります。

 学生時代の2年分と58歳からの2年間で、空白期間が4年分となると、毎年合計8万円もの年金が減ってしまいます。

 また、年齢が離れている夫婦の場合には、こういう心配もあります。

 夫は厚生年金を払いながら働いている。夫自身の年金は働くかぎり70歳まで増えていくけれど、夫が65歳から70歳まで厚生年金を払いながら働いても、妻の年金を増やすことはできないということです。

 例えば、専業主婦の妻が55歳の時に夫が65歳になった。それ以降は夫が働いていても、妻は自分で国民年金を支払うか、妻みずから厚生年金が出る会社で働かないと年金は満額もらえないことになるわけです。

 こういうケースもあります。同じ年の妻にも夫にも学生時代の2年間の空白期間があったとします。夫は60歳以降、62歳までの2年間、厚生年金の出る会社で働けば、学生時代の空白期間を事実上埋めることができます。しかし、60歳を過ぎた妻は、第3号被保険者の特典はなくなる。60歳以降は妻自身も厚生年金の出る会社で働くか、国民年金を任意加入という形で、2年分支払わなくてはいけないのです。

 国民年金の任意加入は65歳まで。つまり、最長で5年は空白期間を埋めることができます。また、妻や子供の年金の掛け金を夫が支払う場合には、夫の社会保険料控除の対象とすることができ、節税できます。老齢年金は老後の生活の柱になり、死ぬまで一生続くものです。減ったまま一生続かないように、できるだけ空白期間を埋めましょう。

 女性の年金のことをもっと知りたい方は拙著「急に仕事を失っても、1年間は困らない貯蓄術」(亜紀書房)に詳しく書きましたので、手に取ってみてください。

佐藤治彦(さとう・はるひこ)経済評論家。テレビやラジオでコメンテーターとしても活躍中。著書「素人はボロ儲けを狙うのはおやめなさい 安心・安全・確実な投資の教科書」(扶桑社)ほか多数。

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