身長2mの期待の若手・秋広優人の活躍が、チーム内のパワーバランスを変えてしまいそうだ。
秋広が2試合連続でスタメン出場し、プロ初アーチを放ったのは4月23日のヤクルト戦。
「兄貴分の中田翔も喜んでいました。自主トレでもいっしょでしたが、キャンプ中のアーリーワークのグループ分けでも、中田は『秋広を(自分の組に)ください。絶対、一人前にしてみせます!』と、大久保博元打撃チーフコーチに直訴していました」(関係者)
秋広も中田に感謝しているはずだ。その中田が、低迷する巨人のキーマンとなりそうなのだ。
「最下位に沈んでいたころ、中田の打順を3番に動かしました。また5番に戻したのは、中田を3番にした打順がうまく機能しなかったから。それでも中田は好調をキープしており、チームの全打点を1人で上げた日などは、巨人軍ならぬ『中田個人軍』と言われるほどの孤軍奮闘ぶりでした」(スポーツ紙記者)
4月11日からの、阪神3連戦でのことだ。中田は同カード初戦の8回、試合を決定づける4号2ランを放った。しかし、守備でミスをしてしまい、翌日は早出特守の練習に励んだ。その姿が若手に刺激を与えたことは言うまでもない。
「当初、チームのムードメーカーは松田宣浩でした。でも、結果を出せず、ファームでの再調整となりました。中田はベンチで声を張り上げるタイプではありませんが、ピンチでマウンドに集まると、若い投手を励ますなどして、新キャプテンの岡本和真をサポートしています」(同前)
岡本にも配慮しているのだろう。ヤンチャだった日本ハム時代とは別人のようだ。先の関係者によれば、原辰徳監督が中田獲得を決めたとき、坂本勇人にだけは電話を入れたという。坂本の「中田歓迎」の言葉に原監督は安堵し、中田自身も坂本の気配りに救われたことが度々あったそうだ。
その中田が秋広の活躍によって、「チームを牽引する男」として再評価されている。これでチームがV戦線に浮上できたら、「中田個人軍」でも構わないのでは?
(飯山満/スポーツライター)