「実行役」のみならず「撮影役」も逮捕/世間を震撼させた動画テロの代償(上)

 今年前半、社会を騒然とさせた飲食店での迷惑行為。特に狙われたのが「スシロー」「はま寿司」「くら寿司」などの回転寿司チェーン店で、SNS上に投稿された動画テロは信じ難いものばかりだった。

 中でも大きな衝撃を与えたのが、岐阜県内のスシローで起きたいわゆる「ペロペロ事件」。1月29日にSNSで拡散された動画には、金髪の少年が醤油の差し口や未使用の湯呑みをペロペロと舐め回したり、唾液をつけた指で回転レーン上の寿司を触ったりしている様子が映っていた。

 同じく1月には「はま寿司」で、若い男性客が、回転レーン上を流れる寿司2貫のうち1貫だけ箸で取って食べる動画がSNS上で拡散した。動画には「おいしそうだったので食べちゃいました」「#人の注文」「#はま寿司」とあった。同じく1月「はま寿司」では、レーン上の寿司に男性客がスプーンで何かを盛る様子の被害動画も広まった。動画には「他人握りわさび乗せ」というテロップ。この男性は、他人が注文した寿司に勝手にわさびを乗せていた。2月中旬には、富山県内の男子高校生が、ガリが入った容器に直接、箸を入れて食べる様子の動画も物議を醸した。

 また2月3日、名古屋市内の「くら寿司」でも、男性客がレーン上の寿司を手づかみで次々に頬張り、あげく醤油を差しに口をつけて流し込む様子を撮影した動画がSNSに投稿された。動画は拡散され、大炎上した。

「回転寿司店はレーンに隠れて調理場から客席が見えにくくなっており、イタズラがしやすい環境であるのも事実です。加えて、近年ではSNSで『映える』『バズる』ことがもてはやされています。注目を集めたい一心で迷惑動画を投稿したのかもしれません」(週刊誌記者)

 とはいえ、スシローのペロペロ男は当時、偽計業務妨害で書類送検され、くら寿司の迷惑客は威力業務妨害容疑で逮捕され実名報道されている。しかもこの「事件」では、実行役だけでなく撮影、投稿した「共謀者」も逮捕された。

 被害にあったくら寿司は「迷惑行為は犯罪」との声明を出した。軽はずみな気持ちで行ったとしても、その行為の代償は実に重いと知るべきだろう。

(石田英明)

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