中国の台湾侵攻を阻止するのは困難!米機密文書でわかった「不都合な真実」

 世界中を巻き込んだ米国防総省の機密文書流出事件は、犯人が米空軍州兵と判明して13日に逮捕されたが、1週間たってもその波紋は収まりそうにない。

「まず犯人のジャック・テシェイレアですが、21歳のゲームマニアでオンラインゲームのチャットルームの管理者だったことから、自己顕示欲を満たすために文書をチャットにアップしたとみられています。そんな軽い動機により、ウクライナや中国、ロシア、北朝鮮、イランなどのほか、イスラエルや韓国といった同盟国に対しても諜報活動を行っていることが明らかになり、世界にアメリカ不信が広がった。また、米国自身の軍や治安に関する機密情報も拡散させたわけで、一州兵が国防総省の最高機密にアクセスできたことが問題となっています。拡散ルートには、親ロシアの米海軍副士官の名前も浮上しており、アメリカという国の分断状況をうかがわせますね」(全国紙記者)

 だが、文書が流出したことで「かえって良かった」という声が上がっているのが、戦禍にあるウクライナだ。

「ウクライナに関しては、激戦地の本当の惨状や弾薬切れが深刻な状況にあることなどが記されていました。西側諸国が支援疲れになる中、これからさらなる支援が必要であることを、文書は如実に物語っていたというわけです。どのみち今後ウクライナが大規模な反転攻勢に出ることに変わりはなく、情報が流れようが大勢に変化はないということです」(軍事情報に詳しいフリージャーナリスト)

 一方、「不都合な真実」がバレてしまったのが、台湾情勢に関する情報だ。

「流出文書では、もし仮に中国が台湾に侵攻した場合、中国軍の制空権掌握を阻止することは困難だと分析しています。台湾は中国が発射するミサイルを正確に探知することが出来ず、台湾軍の戦闘機ですぐさま対応できるのは半分しかないという内情も明らかに。また、中国の軍備拡張と民間船籍の軍事利用などで、アメリカの中国の軍事力に対する分析が追いつかなくなっていることも記されていました」(同)

 その中国は、台湾の蔡英文総統が渡米してケビン・マッカーシー下院議長と会談して帰国したことへの反発から、8〜10日にかけてまたも台湾周辺で軍事演習を行い、これに対しアメリカは台湾海峡に駆逐艦を差し向けて中国の動きを牽制した。

 ただ、中国は流出文書の中身を見て余裕のテイかもしれないのだから、やはり21歳ゲーマーがやらかした罪は深く、ダメージはあまりにも大きいだ。

(猫間滋)

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