謎のベールがはがされる日が近づいているのだろうか。
昨年来、父である金正恩総書記とともに、公の場所に姿を見せるようになった金氏の第2子と言われるジュエ氏。度重なるメディア登場に国内外からも、これは後継者のお披露目に違いない、いや、幼い少女を後継者と見るのはあまりにも早急、といった意見が飛び交い、憶測を呼んでいる。
そんな中、韓国の情報機関である国家情報院が7日、北朝鮮の金正恩総書記の第一子について「男子であることが確実」との見方を示したことが明らかになった。
「この情報は委員会に出席した議員が明らかにしたもので、国情院の報告によれば、李雪主夫人が第3子を出産した事実は確実ではあるものの、性別までは不明。ただし、第一子が男子である可能性は極めて高い、としています。とはいえ正恩氏自身、まだ39歳と年齢も若いですからね。国情院では今回のジュエ氏の連続登場は、後継者としてのお披露目ではなく、あくまで4代世襲の妥当性を印象づける狙いがあると分析しているようです」(全国紙記者)
というのも、独裁国家で後継者が登場するのは通常、独裁者がこの世を去ってからと相場が決まっている。なぜなら在任中に後継者などを登場させれば、健康不安説を内外に示すことにことにもなるからだ。しかもカリスマ的リーダーを頂点とする国の場合、血を分けた関係と言えど、自分の意に沿わなければいとも簡単に抹殺するケースも少なくない。
「2017年2月に正恩氏の異母兄である金正男氏が何者かの企てで殺害されています。その意味では、現在の右腕的存在である妹の与正氏ですら、今後その地位を維持していける保証はない。それは、これまで正恩氏が行ってきた粛清を見れば明らかです。なので正恩氏に長男がいたとしても、その人物が後継者に就けるかどうかは不透明。実際、正恩氏の父である金正日氏と、祖父の金日成氏の妻や子供の数については諸説あり、2011年に死亡した金正日氏には7人の子供と4人の妻(うち正式な妻は1人のみ)がいたとされ、1994年に死亡した金日成氏には、6人の子供と2人の妻がいたとの説がありますが、これも定かではありません。そして正妻の子であろうが、愛人の子であろうが、後継者を誰にするかは独裁者の考えひとつだということ。つまり北朝鮮に限っては、第一子がすなわち後継者になるとは限らないのです」(同)
一部報道では「正恩氏が数年前から周辺に『領主』という名前を使うなと指示した」ことから、長男の名前は金領主(キム・リョンジュ)で、現在ピョンヤン在住で帝王学を勉強中だとの情報もあるが、
「いずれにせよポストは一つだけですからね。数年後か週十年後かはわかりませんが、後継者が決まった場合には、それ以外の親族は排除される可能性もある。悲しいかな、それが独裁者の子供たちが背負う宿命なのです」(同)
生まれながらに、大きな十字架を背負わされた子供たちの運命やいかに。
(灯倫太郎)