「ラーメン好き日本一」山形市は「絶対に負けられない戦い」をこうして制した!

 日本一ラーメンが好きな都市はどこか——ご当地にとって「絶対負けられない戦い」を制したのは〝元王者〟の山形市で、首位奪還となった。
 
 総務省が2月7日に発表した家計調査で、22年の「世帯当たりラーメン消費」で山形市が首位になったことは、〝国民食〟とも言えるラーメン人気の趨勢を伝えるものだけに、トピカルな話題として広く伝えられた。20年まで8年連続首位だった山形市が21年に新潟にトップの座を明け渡したものの、わずか1年で再び王者に返り咲いた佳話として。

 そこで浮かぶのが、なぜラーメンが山形市や新潟市なのか?といった疑問だ。そこには様々な要素があるが、その前に、皆が大好きな炭水化物である「米」「パン」「麺」の好みは、そもそも地域別分布があるという。

「世帯別支出額上位を見ると、米は北海道や北陸、九州で高く、パンは近畿から北九州地方、麺は中部から東北までといった分布図を描く事が出来ます。もちろんそれぞれには地域別の特色とは異なった飛び地もあって、例えば南関東でパン消費が多いのは、国際港湾都市があるため食文化が西洋化したから。讃岐うどんの香川県や出雲そばの島根県なども麺の飛び地と言え、これを除けば中部から東北までの東日本が麺文化と言えるのです」(フードライター)

 確かに山形、新潟以外の上位を見れば、以下、仙台市、宇都宮市、秋田市と東北や北関東の都市が並ぶ。実は東北全体が一大ラーメン消費地なのだった。その中でなぜ山形市がトップなのかと言えば、そこは「王者の執念」があって、山形市は王者返り咲きのために約2300万円の税金を投入し、ラーメン店の紹介サイトを立ち上げるなど、官民を上げて努力をしていたのである。

 さらに山形、新潟両市には全国に名をとどろかすラーメンブランドはないものの、周辺に多様なラーメンのジャンルが確立していることも強さの秘密なのではないかという。

「新潟県にはしょうゆ中心の5大ラーメンというものがあって、三条市に至ってはカレーラーメンもあります。そして山形県では辛みその赤湯ラーメン、鶏ガラと煮干しの米沢ラーメン、魚介系の酒田ラーメンなどジャンルがさらに豊富。埼玉県の熊谷などと並んで夏の酷暑で知られる山形市では冷やしラーメンも一般的で、需要が落ちる夏場の底上げに寄与していますし、伝統的に多くの日本そば屋がラーメンを出しています」(同)

 8日には、山形市の佐藤孝弘市長が「ラーメンの聖地 山形市」を宣言。市の観光資源として今後もラーメンを大プッシュしていくという熱の入れようだから、しばらく首位を明け渡すことはないかもしれない。

(猫間滋)

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