岸田・尹両首脳「仲良くWBC観戦」はフェイク!韓国が先走り報道「焦りの正体」

〈韓国の尹大統領、WBCに合わせ訪日検討か…岸田首相と観戦案「急浮上」〉

 2月2日の読売新聞の記事だ。内容は、冷え切った日韓関係改善のため、3月に開催される「2023 ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)に合わせて韓国の尹錫悦大統領が来日し、3月10日に東京ドームで行われる日韓戦を観戦、両国間のシャトル外交を再開する……そんな計画があることを韓国政府関係者が明かしたと、韓国有力紙の「中央日報」が報じたというものだ。ところが、当の中央日報の記事はネットから削除されてもう見られない。
 
「報道を受けた翌日2月3日の会見で林芳正外務大臣は記者からの質問を受け、日韓関係の諸問題について触れられると、『一つひとつコメントは差し控えたい』としながらも、WBC観戦についてだけは『そのような計画があるという事実はございません』と全否定したのです。両国の首脳会談は一大事で、かつ、いきなり仲良く野球観戦となれば大きな話題となるはずですが、これについて続報もなく、何もなかったかのような扱いです」(全国紙記者)

 もちろん日韓関係は目下、徴用工問題がどうなるかが喫緊の課題。韓国政府は日本企業の賠償については、韓国の財団が肩代わりをする解決策を月内にも「先行発表」して解決への道筋をつけるよう調整中だ。もともと徴用工問題は韓国の国内問題が外交問題に発展したものだから、ここで韓国が「先行」するのが筋というのが日本の見方だ。だが、その後の日韓外交の決まっていない予定まで「先行」されたのではたまったものではない。

 韓国の〝先走り〟報道には、「またか」という記憶が蘇る。

「韓国では昨年9月にも、首脳会談で一方的に先行発表して日本政府の不興を買ったことがあります。この時は国連総会で各国首脳らがニューヨークを訪れて、岸田首相も行ったのですが、日本が日程を調整中にも関わらず韓国側から一方的に首脳会談が行われるとの発表があって、温厚な岸田首相も『決まっていないことは言うなよな。それなら会わないぞ』と周囲に不快感を露わにしたのです」(同)

 尹大統領は就任以来、日韓関係修復を大きな政策的課題の1つとして掲げてきた。ところが徴用工問題が大きな壁になって進んだとは言えない。韓国国内では目下、野党の「共に民主党」トップに検察捜査が入り、保守と革新が真っ二つに分かれて政争を展開中だ。

 だから何としても野党との違いを見せつけるべく、日韓関係で大きな成果が欲しいところ。それに焦ってあれこれ策を練っているのかもしれないが、急いては事を仕損じるというものではないか。

(猫間滋)

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