「夢のラーメン屋経営」でガッポリ儲ける方法(1)「いずれは海外展開も考えていた」

 青森県八戸市で大人気のラーメン屋が、昨年10月いっぱいで店を閉じた。元店主は同市で公認会計士の事務所を持つ異色の経歴を持ち、実は赤字で撤退、というワケでもないという。ガッポリ儲かる経営の秘密から、涙の撤退の理由まで一部始終を聞いた。

 八戸市で「石動総合会計法務事務所」を開く石動龍氏(43)が本業の傍ら、みずから厨房で腕を振るう「ドラゴンラーメン」を開店したのは20年10月。まさにコロナ禍真っただ中のことだった。

「特別に料理が得意なわけでも、普段からラーメンを作ったりするわけでもありませんでしたが、独学のラーメン作り研究と開店準備にだいたい3カ月くらい。正直に告白すると、『コロナは遅くとも1年以内には終息するだろう』というふうに考えていて、見通しがかなり甘かったですね」

 公認会計士、税理士、司法書士の資格を持ち、いわゆる「士業」のプロフェッショナルだった石動氏が、みずからの名前を冠したラーメン屋を始めた理由はいくつかある。

「夢というほど具体的ではありませんでしたが、もともとラーメン屋をやってみたかった、というのが始まりです。また、リスクを取りながら飲食店を営む中小企業の社長という立場の方々が私のクライアントにもいて、そういった方たちに実際に自分も実体験からの生きたアドバイスができるのでは、と考えたこと。そして少子高齢化が進み、人口が減って衰退していく八戸を盛り上げたい。そんな気持ちがありました。だからドラゴンラーメンも本業の片手間でやってみよう、というふうには考えていませんでした。むしろ『超人気店になって、いずれは海外展開も』とすら思っていたくらいです(苦笑)」

 並々ならぬ決意があったわけだ。とはいえ、日本中の飲食店が大打撃を食らったあのコロナ禍での船出である。ましてや飲食店は流行り廃りも大きく、オープン後1年以内で潰れる店も少なくない。

 ドラゴンラーメンは諸般の事情により2年1カ月で閉店したものの、テナントとして入る公共施設の休業で店が開けられなかった約3カ月間を除けば、赤字はわずかな期間だけだったという。たった3カ月で開店にこぎつけた、料理人としてもほぼ素人同然の石動氏が、なぜそんな堅い経営ができたのか。そこには士業兼ラーメン屋店主ならではの独特の「儲け方」があったのだ。

マネー