12月後半、日本列島は今シーズンで最も強い寒波に覆われ、新潟や山形など日本海側各地は災害級の大雪に見舞われた。
「寒波の影響は日本に限った話ではなく、アメリカでは最も暖かいとされるフロリダでさえ氷点下の気温を記録したり、かわいそうなことにイギリスでは動物園のレッサーパンダが寒さに耐えられずに死んでしまうといった事態もありました。クリスマスの時期にはさらに猛威を振るい、日本でも九州や四国でも大雪の影響で大規模停電が起こりましたが、アメリカでは暴風雨などで40人以上の死者を出しています」(全国紙記者)
そしてさらに年始寒波の予報が出ていて、特に北日本では年明け早々から気が抜けない状況は続きそうだ。
夏は酷暑に見舞われて、11月には25度以上の夏日さえあったにもかかわらず、冬はうって変わってのこの寒さ。そこで頭に浮かぶのは、「温暖化なのに寒いのはなぜ?」といった疑問だ。だが実は、「温暖化だから」という逆説が成立するのだという。
「温暖化の進行は北極圏でさらに顕著で、通常より2倍速いと言われますが、中には4倍進んでいる予測もあるくらいです。北極圏が温暖化しやすいのは、海氷が解けて海水が露出すると太陽の熱を吸収しやすくなって氷がさらに解けるからとされています。そして北半球の中緯度地域を寒波が襲っている現在の状況は、それまでは北極圏の極渦という冷たい空気を北極圏に閉じ込めているジェット気流が乱れて蛇行しているためで、極渦の南下を許してしまっているからなのです。このジェット気流が乱れる原因として北極圏の温暖化があると見られています」(全国紙記者)
加えて、温暖化は海面から蒸発する海水の量を多くし、大気も中に取り込む水蒸気量が多くなる。だから日本各地で見られるドカ雪を生んでいるのだとも。
もっとも温暖化と気候の変動には長期的変化と短期的変化があるので、そこの見分けも必要だ。今回のジェット気流の乱れによる大寒波の襲来は、昨年にもあったこと。繰り返すが、11月には25度以上の夏日が続くような状況さえあったくらいだ。やはり温暖化の影響を否定できないということだろう。
(猫間滋)