最強寒波が北朝鮮にも襲来!「氷点下40度」と「飢餓」地獄の二重苦

 強力な寒気は、日本より緯度が北にある北朝鮮にも甚大な被害をもたらしそうだ。
 
「今年は1981年以降、2番目に寒い年であることが予想されるのため、特に健康管理に関心を傾け、被害がないよう事前対策を徹底的に立てなければならない」

 21日、北朝鮮の気象庁にあたる気象水門局・中央気象予報隊の室長が朝鮮中央テレビに出演。23日から25日にかけての寒気襲来に備え、万全の寒さ対策で臨むよう警告した。

 同局の予想によれば、都市部でも摂氏マイナス10〜20度後半、北の内陸部ではなんとマイナス40度まで予想されるというから、まさに命の危険を伴う寒さだ。

 しかし、北朝鮮ではプロパンガスや石油を使って暖を取るという家庭は大都市の富裕層に限られ、貧困で材料が買えず、暖房設備のないまま冬を越す国民も少なくないという。

「北朝鮮で暮らす人々の多くは練炭を使って暖をとっていますが、経済的余裕のない人々はそれもかなわず、石炭の粉とおがくず、泥を混ぜた『着火炭』を使う場合が多い。これなら自宅で作ることが可能ですからね。ただ、この石炭の粉さえ買えない貧困層は自分ら山で薪を集めるか枯草を燃料にするしかないのですが、山から勝手に薪を切り出すことは禁止。そのため、山林監視員にワイロを支払えない人々は、薪すらない状態で冬を過ごすことを強いられているのです。折からの寒さで多くの凍死者が出ているといいます」(北朝鮮事情に詳しい記者)

 昨年12月、韓国の聯合ニュースは、北朝鮮が22年に打ち上げたミサイル発射費用で、全住民が46日間食べられるコメを購入できるという韓国政府筋の衝撃的談話を報道。記事によれば、21年は金正恩政権発足後最悪の食糧難に陥ったが、22年はさらに悲惨で、気象悪化と肥料不足により収穫量が前年比で18万トンも減ったという。

 さらに、米国の北朝鮮分析サイト「38ノース」は9日、北朝鮮の食糧価格や供給量に関する資料を分析した結果、昨年夏時点で北朝鮮の穀物在庫は最小限の水準に落ちていることが判明したとして、「北朝鮮の食糧状況は、災難的な大飢饉となった1990年代以来の最悪な状況に陥っている」と結論付けている。

「1990年代の大飢饉、いわゆる『苦難の行軍』では北朝鮮国内で餓死者が続出。全人口の3〜5%にあたる60万〜100万人が命を落としたと推定されています。つまり、現状が『苦難の行軍』と同等であるなら、まさに北朝鮮は今、国自体が存亡の危機と言っても過言ではありません」(同)

 にもかかわらず、相変わらず核プログラムに血道を上げる金政権に対しては、海外からの援助も見込めない。食糧難に極寒…‥。虐げられた人々にこれ以上の被害が出ないよう祈りたい。

(灯倫太郎)

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