連日、世界規模で「危険な暑さ」が続く中、欧州連合(EU)のコペルニクス気候変動サービスと、世界気象機関(WMO)が世界各地の7月における平均気温記録が大幅に更新されたとして、観測史上、最も暑い月になる見通しであることを発表した。
また、米国立環境予測センターでは、7月4日の地球全体の平均気温(世界平均気温)が1979年の衛星観測開始以来、最も暑い日だったとした。米ワシントン・ポスト紙は「7月4日が過去12万5000年間の地球史上で最高気温と考えられる」と指摘する気象学者もいると報道している。
「米デスバレーでは、摂氏50度超えという殺人的な熱波が続き、イタリアやスペイン、メキシコ、新疆ウイグル自治区でも、連日40度超えの暑さにさらされています。この暑さによって各地で山火事も発生し、カナダでは、日本列島の4分の1の面積に匹敵する森林が焼失しました。ヨーロッパでは、暑さのためすでに数万人の死者が出ていると報道されています。WMOによれば、これらはもはや『異常気象』ではなく、今後はこれが『当たり前の日常』になる可能性が高いとしています。専門家の中には、もはやどんな策を講じても気温上昇は避けられない、との声もあるほどです」(全国紙記者)
温暖化により南極大陸の氷床は年間約1500億トンのペースで融解しているとされ、この現象は270万年に1度起きるというレベルだと主張する科学者もいるほどだ。
南極だけではない。このまま気温の上昇が進めば、北極圏にある永久凍土が解け始め、そこに閉じ込められていたメタンが大量に放出され、加速度的に温暖化が進むというと言う専門家もいる。
「現在、永久凍土中に貯蔵されている温室効果ガス放出の可能性がある有機物は、地球大気中にある二酸化炭素の約3倍、メタンに至っては200倍もあるといいます。そして、これが放出された場合、自然界を取り巻くすべての循環が著しく暴走し始める。そうなったら、もはや人間の手には負えない状態になると言われています。そのボーダーラインが『臨界点』というポイントで、それを越えると、ドミノ倒しのように連鎖が始まり、地球の気候システムが完全に崩壊してしまうというのです。しかも、温暖化による悪循環はじわじわと始まるのではなく、ある時点を境にして急激に悪化するといいます」(前出・記者)
「地球の気候が完全崩壊」と言われてもなにやらSFのような世界だが、世界各地の異常事態を見聞きし、連日のうだるような暑さにさらされていると、もはや絵空事とは思えないのである。
(灯倫太郎)