東京−高松を2時間半「四国新幹線」計画加速も露呈する“鉄道シーラカンス”ぶり

 9月に西九州新幹線が開通することが決まっている。そこで新幹線未踏の最後の地ということから、このところ「四国新幹線」実現への動きが活発化している。

「6月1日には四国4県の知事以下の市町村議長、地元の商工会議所や経済団体らからなる『新幹線促進期成会』が新駅候補や経済効果を調査・公表。7月7日には早期整備の要望書を発表し、そして20日には香川県がPRへの助成を打ち出しています」(ブロック紙記者)

 期成会が描くイメージでは、山陽新幹線の岡山駅から瀬戸大橋で瀬戸内海を越えて高松・徳島、高知、松山の3路線に分岐して4県を繋ぐというもの。総延長302キロで、経済効果は年169億円という。さらには果ては徳島と淡路島を通じて新大阪を結ぶ線、また松山からさらに海を越えて大分まで伸ばすプランも描かれており、これが実現すれば東京—高松はおよそ2時間半に短縮される。

 四国は唯一新幹線の具体的な整備計画がない地域。それだけに四国の政財界挙げての念願なのだ。

 だがその前に、もっと身近なところから鉄道改革をすべきとの声もある。というのも、新幹線以前に徳島県と愛媛県では自動改札が導入されていないし、さらに徳島は全国で唯一、ディーゼル車が走っていて電車のない土地だからだ。

「以前は徳島と愛媛のほか、宮崎、福井、石川、島根、鳥取が『7大自動改札ない県』と呼ばれていましたが、徐々に導入されて、現在は徳島と愛媛だけになりました。愛媛は松山駅に以前は自動改札が存在していましたが、コストの問題から、今はタッチセンサーが設置されているのみです。また徳島は全国で唯一、電化区間が存在しておらず、さらには複線区間もありません」(同)

 それだけ車社会でかつ都市部に人口が集中しているということなのだが。新幹線はストロー現象を伴って、より大都市に人口が吸われる可能性があることを忘れない方が良いだろう。

(猫間滋)

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