いよいよ、SF映画「ロボコップ」の世界が現実化する日が近づいてきた。
11月29日、BBCなど複数のメディアは、米サンフランシスコ市監理委員会が、警察による殺傷能力を持つロボットの使用を8対3の賛成多数で承認した、と伝えた。
BBCの取材に対し、サンフランシスコ市警の広報担当者は、使用の前提として「暴力的であったり、武装していたり、あるいは危険性のある対象者が潜む建物を突破するために、ロボットに爆発物を搭載する可能性がある」とコメントしているが、
「実は、この種のロボットはすでに、アメリカの別の州では使用されていて、2016年にテキサス州ダラスで発生した警官2人が殺害され、多くの負傷者が出た事件では、警察がC-4爆薬を搭載したロボットを使い、スナイパーを殺害したという事例があります。この時、使用されたのが、現在サンフランシスコ市警保有の1台と同型の『Remotec F5A』というモデル。本来このロボットは爆弾処理に使われるものですが、この時は爆弾を積み込み犯人へと突入、爆殺したとされています」(全国紙記者)
さらに、カリフォルニア州オークランド警察でも、「将来的に殺傷能力があるロボット使用の可能性もある」として、同タイプのロボットへショットガンを装備することを検討している、との報道もあった。
さて、にわかに現実味を帯びてきた警察による「殺人ロボット」の運用だが、むろん背景には、銃社会アメリカにおける犯罪激化、凶悪化があることは言うまでもない。
「戦場で、無人ドローンが通常兵器として大量投入されている昨今、警察関係者の中で、なぜ自分たちだけが、重武装した凶悪組織に生身で対峙し、命を危険にさらさなければならないのか、という声が大きくなっているのは事実。一方、権限を与えられることにより、警察が軍事化する可能性を懸念する声もあり、現段階ではこの流れが全米に広がるかはわかりません。しかし、サンフランシスコ市警察のように『一般市民や警官の命が失われる危険が差し迫り、ほかのあらゆる力の選択肢を上回る場合』という厳しい条件を課したうえでの運用であれば、殺傷能力のあるロボットの配備に前向きな意見は少なくない。そうなれば、映画で登場した『殺人ロボコップ』がアメリカのいたるところで“活躍”する姿が現実味を帯びてくるかもしれません」(同)
報道によれば、現在サンフランシスコ市警は17台のリモート操縦ロボットを保有しており、うち12台が使用可能。監理委員会に提出された草案には、殺傷能力の付与に加え、重大事件や緊急事態、さらに不審物査定での使用も提案されており、今後協議が行われていくという。
そういえば、映画「ロボコップ」では、銃で武装したロボット警察官が街をパトロールし、凶悪犯罪者を正確無比に射撃するというシーンもあったが、アメリカではそんな時代が、すぐそこまで来ているのかもしれない。
(灯倫太郎)