トランプ氏「大統領選出馬」で浮き彫りになった米政界「80代がごろごろ」の超高齢化

 米中間選挙では民主党が善戦、上院は過半数を守り、下院は共和党に敗れたが大差はつかなかった。この結果に共和党内では推薦した候補者が複数敗れたトランプ前大統領への風当たりが強くなった。もっとも、そこはトランプ氏。自身への批判などどこ吹く風で、11月15日には、24年の大統領選への出馬を表明した。

「トランプ氏が出馬表明することは予定通り。関心はバイデン大統領がどう出るかです。16日にG20サミットでインドネシアにいたバイデン氏はトランプ氏の出馬について記者から感想を求められて、『特にない』と余裕のコメントをしていました。中間選挙での善戦もあって、バイデン氏が再び大統領選に臨む環境は整いつつあると言えるでしょう」(全国紙記者)

 とはいえ、バイデン大統領は11月20日に80歳の誕生日を迎えた。これまでのアメリカ大統領の最高齢は故・ドナルド・レーガン氏の退任時の77歳だった。バイデン氏が任期を終えるのは82歳。仮に2期目に臨むことになると、退任時は86歳だ。

 もっとも、バイデン大統領だけが高齢なのかといえばそうでもない。トランプ氏は現在76歳であり、次の大統領選に勝ったとして78歳。1期目の退任時は82歳だ。

 また、対中政策の強硬派で、今年8月に台湾を訪れたことで一気に中国との緊張関係を高めた民主党のナンシー・ペロシ元下院議長は82歳。さらに、共和党上院議員、チャック・グラスリー氏は、89歳で再選を果たしたので任期終了時にはなんと95歳ということになる。現在、アメリカ政界には高齢者がごろごろいるのだ。

「アメリカの高齢化は日本ほどの偏りはありませんが事情は同じです。戦後生まれのベビーブーマーが多いのは世界に共通したことで、現在、65歳以上の高齢者が急速に増えているのです。アメリカは、21年時点で65歳以上の人口が占める高齢化率は17%ですが、2030年には20%を超えると予測されています」(前出・全国紙記者)

 このままの情勢だと次の大統領選は「82歳vs78歳」という前例のない「おじいさん対決」になりそうだが、高齢であっても心身ともに壮健な御老体はゴマンといる。むしろ懸念されるのは元気のない壮年世代の政治家かもしれない!?

(猫間滋)

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