“たむけんラーメン騒動”に見る芸能人SNSと「大衆大量介入」の危険

 芸能人とSNSの融合パワーをみせつけた格好だ。

 お笑いタレントのたむらけんじを来店後に「カメラなかったらおもろ無い奴」などとツイッター上で揶揄した大阪市内のラーメン店に1日1000件を超える無言電話が殺到したという。

 騒動の発端となったのは、1月22日に同ラーメン店の公式ツイッターアカウントが投稿した「先程、たむけんさんが来店されました!」とのつぶやきで、同ツイートにはたむけんが店先で複数の店員らと並んで記念撮影に応じている写真を添付。気さくな雰囲気が伝わる横並びのショットではあるが、その後に同アカウントは先述のツイートにリプライする形で、客として来店した“生のたむけん”を「カメラなかったらおもんない奴でした」と表現し、その無礼な言動が大きな波紋を呼んでいた。

 この“おもんない奴”とのリプライをフォロワーから知らされたたむらは、同ラーメン店のアカウントに対して、当該ツイートの削除などを求めると、騒動の一部始終を過去のタイムラインから知った一部のネットユーザーが一斉に同ラーメン店へ苦情や無言電話をかけ、中には無関係の店員に怒鳴りつける電話もあったという。

「最終的に店の社長が謝罪する事態となり、同店公式アカウントも削除せざるを得ない状況になりました。芸能人や著名人には凄まじい数の支持者がおり、一般人とは比較にならない注目度があるため、ツイッターという土俵で一般人と揉め事を起こすべきではないでしょう。今回はたむけんが陰口を叩かれた被害者ではありますが、昨年、児童館への入場を人数オーバーという理由で断られたタレントの熊田曜子は自身のブログ内に当該児童館名を掲載してしまい、その児童館には多数の批判の声が寄せられたとか。一般人側がネットリンチを受けてしまうケースも多いですから、芸能人はSNSの運用には細心の注意を払うべきですね」(ネットライター)

 騒動が過熱する最中、たむらは2月5日に「ネットの皆様へ もう、やめましょう。僕に対するお言葉はありがたく頂戴しますが、向こうへのお言葉はもうやめましょう」とツイートし、同ラーメン店へのバッシングを止めるよう呼びかけるも、時すでに遅し。ワイドショーの取材に応じた同ラーメン店の責任者は、騒動以降クレームや無言電話が深夜3時~4時ぐらいまでは鳴りっぱなしで、電話のかかってくる回数は1000件以上とも告白。芸能人への軽口をキッカケに事態が想像以上に拡大してしまったことを嘆いている。

 芸能人が持つ影響力に加え、SNSの拡散力が招いた今回の騒動だが、今後は二次被害を無くすためにも、インフルエンサーと一般人との揉め事は当事者同士のみで解決し、第三者の“大量介入”を防ぐよう取り計らうことが望ましい。

(木村慎吾)

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