憧れよりもチーム事情優先で——。
「千賀争奪戦」にドジャースが参戦。海外フリーエージェント権を行使した福岡ソフトバンクホークス・千賀滉大投手に、複数のMLB球団が興味を示している。マリナーズなど、代理人との交渉日の調整に入ったチームもあるが、最後に名乗りを挙げたドジャースを本命視する向きも多い。
「千賀がメジャーリーグを明確に意識するきっかけとなったのは、2017年WBC大会です。同準決勝で投げ、敗戦投手になっていますが、球場の雰囲気などにシビレてしまった、と。その球場がドジャースの本拠地・ドジャースタジアムだったんです」(球界関係者)
ドジャース入りがすんなり決定する可能性もある。しかし、千賀はドジャースの投手事情について、改めてチェックし直したほうが良い。
「ドジャースは今年の地区シリーズでパドレスに敗れています。ポストシーズンマッチ独特の絶対に負けられないという雰囲気のなか、ドジャースは『エース対決』となった試合を落としました」(現地記者)
エース対決を落とし、投手力の強化が叫ばれたわけだが、ドジャースは他球団とは異なる。
2022年シーズン、ドジャースのチーム防御率は2.80。MLB30球団のトップであり、4人の先発投手が2ケタ勝利を挙げている。この強力な投手陣のなかで先発枠を勝ち取るのは並大抵のことではない。
「地区シリーズ初戦に先発した左腕フリオ・ウリアスは17勝を挙げ、防御率もリーグトップの2.16。2戦目でダルビッシュとの投げ合ったクレイトン・カーショーは通算197勝、サイ・ヤング賞3回。タイラー・アンダーソンも今季15勝を挙げました」(前出・同)
彼らの契約期間だが、揃って今オフが更新となった。ウリアスは早々に残留を決め、「退団に傾いていた」とされるカーショー、アンダーソンも残留の方向に変わったという。
「ドジャースが千賀に興味を持っていると報じられたのは、カーショー、アンダーソンの去就が不透明だったときです」(前出・同)
リーグを代表するカーショーらが地区シリーズで不甲斐なかったのは本当だ。千賀のドジャースタジアムへの思いも分かるが、このメンツと張り合うよりも、確実に先発枠を空けているチームに行くべきだろう。
(スポーツライター・飯山満)