6月25日に日本生産性本部サービス産業生産性協議会により発表された、2019 年度JCSI(日本版顧客満足度指数)の第1回調査結果で、飲食店の顧客満足度1位にファミレスの「サイゼリヤ」や回転寿司の「スシロー」を抑え、長崎ちゃんぽんの「リンガーハット」が選ばれた。
「リンガーハットはかつて低価格競争に巻き込まれ、価格を下げるために人件費を抑えたことでサービスの質が下がるという負のスパイラルに陥り、2009年2月期通期には純損失24億3400万円の大赤字を記録していました。当時は飲食業界でも『リンガーハットは終わった』とも言われていたため、ここまで顧客に支持されるようになるとは誰も予想できなかったでしょう」(飲食店コンサルタント)
その現在の魅力は、いったいどこにあるのだろうか。
「客を満足させる理由は3つあると言われています。まずサービスの質の向上とともに、米濵和英会長の発案により09年10月から全店で野菜を100%国産化したこと。そして、翌10年には麺に使う小麦も国産化し、13年には餃子の主原料も国産化に切り替えました。これによって、『リンガーハット』は子ども連れで訪れる家族が増えたのです」(同)
2つめが、10年に麺増量の無料化に踏み切ったことだといい、通常の麺量は200gだが、1.5倍の300gもダブルの400gも同じ値段にしたことで一気に男性ファンが増えたのだという。
「そして3つ目が、10年の野菜国産化と同時にスタートさせた『野菜たっぷりちゃんぽん』です。同メニューは厚生労働省が提唱する1日の野菜摂取量350gを超える480gの野菜を摂取できるというもので、女性を中心に人気に火が付き、発売からわずか1年で500万食を超える大ヒット商品となったのです」(外食ジャーナリスト)
4月には、20年2月期で前期比8.2%増の25憶円の経常利益を予測しているリンガーハット。家族連れ、男性客、女性客とまんべんなく満足させる戦略は、かなりの盤石ぶりかもしれない。
(小林洋三)