「病人まで徴兵」ロシア「動員逃れ狩り」が激化!“囚人兵”は脱走して武装強盗団に

 プーチン大統領が発令した「予備役の部分的動員令」による徴兵から逃れるため、ジョージアやフィンランドとの国境には、現在もなお、国外脱出を求めるロシア国民の長蛇の列が続いているという。

「米国防省筋の発表によれば、現段階でロシアから国外へ逃れた人の数は少なくとも70万人以上。ロシア警察による検問は日に日に厳しくなっているようですが、逆に警察から多額のワイロを要求されるケースも増えるなど、トラブルが後を絶たないとも言われています」(全国紙国際部記者)

 そのため、陸路を諦め空路で国外脱出を図る国民が急増。おかげで、購入希望殺到で価格が高騰。特にビザなしで渡航できる大人気のトルコやアルメニアへの航空チケットはロシア人の平均月収の数十倍にまで跳ね上がっているため、一般の国民が到底手を出せる金額ではない。そこで、結局は召集令状に従い「徴兵」となるケースが多いというのだが、

「実はこの召集令状もデタラメで、当初、猶予するとしていた学生や高齢者だけでなく、入院患者や中には既に亡くなっている人宛に令状が届くケースもあり、とにかく人をかき集めて戦場に送ればいいという意図が透けて見えるずさんなもの。しかも、最近では令状が届いても徴兵に応じない国民をターゲットにした大規模な“動員逃れ狩り”がおこなわれているといいます」(同)

 ロシアの人権団体「Net Freedoms Project」の調査結果を報じた、12日付の独立系英字紙「モスクワ・タイムズ」によれば、ロシア当局は国防省と結託。警察や税務署、病院やホテルなどのデータベースを使い、動員逃れの国民を調べあげているというのだ。

「記事によれば、モスクワ市内ではホテルに宿泊する男性客40人を、いきなり警察が軍の徴兵事務所に連行。サンクトペテルブルクにある総合病院でも、予約で訪れた男性に対し医師が令状を渡すといったケースがあり、召集延期証明書を持つ学生は警察に3回も拘束されたと報じています。これが事実なら、文字通り『動員逃れ狩り』。政府が恐怖心で反対の声を抑え込もうとしているわけで、そこまで追い詰められていると言えるでしょう」(同)

 一方、徴兵されたもののすぐに脱走し、武装強盗団になっている輩もいる。それが、刑務所に収監されていた“囚人兵”だというのだ。

《徴兵された囚人兵士が脱走し、武装犯罪を続けている》と報じた17日付の英エクスプレス紙によれば、兵士不足の最中、“プーチンの私兵”とも呼ばれる民間軍事会社「ワグネル」によってスカウトされた囚人たちが、2週間の軍事訓練を経て最前線に出たものの、相次いで脱走。武装強盗団化して、ロシア内で事件を起こしているというのだ。

「囚人スカウトプランでは、戦場で6カ月間戦えば恩赦が与えられるが、脱走すれば処刑、という厳密な条件が付けられていたようです。報道によれば、中には38人を殺害し、終身刑となっていた男もいたのだとか。常識的に考えて、そもそもそんな人物がはなから約束を守るとは考えられませんからね。背に腹は代えられなかったということでしょうが、やることすべてが裏目に出ている現状が、今のロシアそのものを表しているようです」(同)

 劣勢が伝えられるロシアが次に打つ手段とは‥‥?

(灯倫太郎)

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