副業を認める会社が増えているが、JR各社でも副業の解禁が続いている。
「8月にはJR西日本が副業の解禁に踏み切ったのに続き、10月7日にはJR九州も副業の解禁を発表しました。JR西日本の『サブキャリア制度』は部門によってグループの内外での副業が可能となりましたが、JR九州はグループ内の43社に限って、1カ月に60時間以内の副業を認めています。なので社員の稼ぎを増やすというだけでなく、グループ内での違う職種を経験することで新規事業の開発につなげようという狙いがうかががえます」(経済ジャーナリスト)
とはいえ、いまさら言うまでもないことだが、人口減少とコロナ禍で進んだ働き方の変革で鉄道需要は今後いっそう減少する。電車だけでは食えなくなっている現実は明らかだ。
最も厳しいのがJR北海道で、現在8期連続の全区間赤字で、中には100円稼ぐのに3287円もかかった路線があるという。あまりにも採算性が低いのだ。
そこで危機感を社会でも共有してもらおうと、JR西日本が4月に赤字路線の公表に踏み切ったのに続き、7月にはJR東日本も同じく公表。JR北海道、四国、九州のいわゆるJR3島会社は既に公表していたが、東と西も深刻度が高まってきたということだ。ちなみにJR東日本における東北部分は、22路線44区間全てが赤字と、全体の業績を押し下げている。
「コロナ以前の数字で言えば、JR東海と九州は業績好調でした。東海は東海道新幹線があるので営業利益率が抜群で、九州は地元九州にとどまらない東京や大阪といった大都市でもホテルやマンションを展開する不動産・ホテル事業の貢献が特に目立ち、その攻めの姿勢で都市開発にも積極的でした」(同)
JR東海は例外だろう。東海道新幹線以外でも、人口の多い太平洋ベルト地帯が営業エリアで、過疎地を多く抱えていないからだ。
だからJR各社での副業解禁シフトは、JR九州におけるような本業以外で稼ぐ「非鉄道会社」化へのシフトの一環と捉えられる。もはやかつてのように鉄道員(ぽっぽや)をやっているだけでは食っていけない時代なのだ。
(猫間滋)