クライマックスシリーズ・ファーストステージ第2戦で埼玉西武が敗れ、その約1時間後に辻発彦監督自らが今シーズン限りでの退任を発表した。
「昨季最下位から3位のCS進出は評価すべき。3点台後半だったチーム防御率を2.75まで下げました。これは辻監督が牽引した結果であり、また、打順は松井稼頭央ヘッドコーチ、平石洋介打撃コーチが話し合って決めてきました。2022年は首脳陣の世代交代が上手に進んだ1年だったと思います」(ベテラン記者)
“規定路線”どおり松井ヘッドの監督昇格が決まったが、今季、兼任コーチだった内海哲也も二軍投手コーチでの入閣が決定した。引退セレモニー後、「古巣巨人への帰還」も囁かれていたが、周囲の説得もあって、西武残留を決めたわけだ。
「練習熱心さ、人柄はもちろんですが、西武が内海を必要とした理由の一つに『左の先発投手の育成』がありました」(球界関係者)
昨秋のドラフト1位・隅田知一郎、同2位・佐藤隼輔の両左腕の“指導係”だ。
隅田は大学ナンバー1左腕と称されたが、今季はわずか1勝。即戦力として大きな期待も掛けられたが、10敗はいただけない。また佐藤も、二軍での再調整期間もあり3勝4敗と振るわなかった。
19年間、左の先発投手として実績を積み上げてきた内海は“最高のお手本”であり、隅田、佐藤が一人前になれば、辻前監督が再建した投手陣は松井政権でさらに盤石になるはずだ。
「右、左に関係なく、若手を底上げしてくれということかもしれません」(前出・同)
今季の二軍監督は、西口文也。松井次期監督もファームで指導者生活をスタートさせ、一軍コーチを経て今日に至った。そのレールを西口ファーム監督が踏襲するとしたら、内海は二軍全体の投手陣を預かることになる。
いずれにせよ、内海は4年間で“西武の人”になったということだろう。
(スポーツライター・飯山満)