さらに船戸医師は「運動」について「朝時間」の活用を勧めている。仕事が終わった夜にジムなどに通うよりも、朝に体を動かすほうが効果的だという。
「朝日を浴びながら運動すると、精神の安定にかかわっている『幸せホルモン』と呼ばれるセロトニンの分泌が促されます。朝6時から8時までの間に最低でも30分、できれば1時間歩くことをお勧めします」
セロトニンは15時間後くらいに「睡眠ホルモン」と言われるメラトニンに変わり、さらに3〜4時間後には睡眠波が出て良好な睡眠に入れる。朝の運動と夜の睡眠はセットになっているわけだ。
「運動を勧めるのは体温が上がる、という理由もあります。つまり『加温』ですね。ガンは熱が苦手で低体温を好みます。一方、ガンを取り締まるリンパ球は、体温が1度上がると活性が40%上がります」
船戸医師が実践しているのは「HSP入浴法」。HSP(ヒートショックプロテイン)とは、熱刺激を受けると細胞の中で増えて、遺伝子を修復したり、変性したタンパク質を取り除くタンパク質の一群のこと。HPS入浴法はこれを最も効果的に増やすという。
「42度で10分、41度で15分、40度で20分のうち、いずれか一つの入浴法をして、その後に10分から15分保温します。この保温がいちばん大切で、体をふいたあと衣類を身に着けて冬は暖かい部屋、夏は冷房をかけずに最低10分間、体を保温します。さすがに毎日はキツイので、週2回で構いません」
最後は「笑い」だ。笑いの作用により、ガン細胞を退治するNK(ナチュラルキラー)細胞が活性化することは、すでに実証されているが、楽しくもないのに笑うことに抵抗を抱く人も少なくないだろう。
「いやいや、笑うから楽しくなるというパターンもありますよ。鏡の前で口角を上げて、笑顔を作る。そのうち『なんで自分はこんなことをやっているんだろう』って、おもしろくなってきますから(笑)」
以上の「5カ条」を実践すると、ガンが嫌がる1日の生活は次のようになる。
・朝6時に起床。
・ウォーキング。
・朝・昼・晩の食事は、野菜を中心とした栄養バランスのいいものを食べる。
・日中は仕事や趣味などを生き生きと楽しく。家族との団欒などでリラックスしてたくさん笑う。
・週2回はHSP入浴法でしっかり加温&保温。
・夜10時に就寝。
重要なのは、この生活を毎日繰り返すことだ。
「習慣化するまで最低でも3カ月はかかりますが、間違いなく効果が出ます」
そう断言する船戸医師。しかもこの生活習慣は、ガンに限らず、あらゆる病気の予防にもなるという。さあ、今日から実践だ!
*「週刊アサヒ芸能」10月5日号掲載