15年サバイバー医師が教える「ガン再発させない」5つの生活習慣(1)〝原因〟は切り取れない

 再発率の高い腎臓ガンを07年に発症し、見事克服した船戸医師の著書「がんが消えていく生き方」が発売から2年経った今でもベストセラーになっている。ガンに「勝つ」のではなく「克つ」とはどういうことか。自ら実践している「ガンに克つ5つの生活習慣」を伝授する。

「『ガンに勝つ』というのは、ガンに勝負を挑んでいるわけで、負けたら死ぬしかない。『勝たなければ意味がない』と、ずっと思っていました」

 そう話すのは「がんが消えていく生き方 外科医ががん発症から13年たって初めて書ける克服法」(20年10月発売/ユサブル社)の著者・船戸崇史医師だ。

 現在は岐阜県養老町に開業した「船戸クリニック」で、西洋医学を中心に、東洋医学や補完代替医療も取り入れた治療、診察を行っている。

 船戸医師とガンの闘いは医師としてのキャリアのスタートから始まっている。愛知医科大学医学部を卒業後、岐阜大学第一外科に入局。その後、数々の病院で消化器腫瘍外科の専門医として、胃ガン、大腸ガンなどの消化器系ガンを中心に、肺ガンや乳ガンなどの手術治療も行ってきた。

「ある日、胃ガンを患った40代の女性の手術を執刀しました。チームのまとまりもよく、短時間の上、出血量も少なく終わった。その時は会心のデキだと思いましたね。ところが、再発して亡くなってしまわれました。当時は、ガンはきれいに取りきればなくなるという医学の常識に従って、手術手技の技術を磨いていました。ですが、ガンにはガンになる理由、原因があったんですね。ガンは切り取ることはできても、ガンが出てきた原因までは、私のメスでは切り取ることができない。それでは治したことにはならない。その思いが強くなり、外科医になって11年目にメスを捨てる決心をしました」

 ガンの本質的な治療と、自宅で最期を迎えることを望む患者の在宅医療のサポートを目的として、94年に「船戸クリニック」を開業。漢方医である妻の博子医師による漢方診療も取り入れ、一人一人に最も適切な「オーダーメイド医療(統合医療)」を始めた。 

 クリニックが軌道に乗り始めた07年、船戸医師は思いがけず腎臓ガンを発症する。

「ガン患者さんを毎日のように診ていても、母が白血病にかかった時でさえ、まさか自分がガンになるとは微塵も思いませんでした。しかも、ガンという病気を誰よりも知っているから、ショックは相当なものでしたね」

 メスを捨てた船戸医師は手術を受けるべきか悩んだ。そして一つの考えに至った。それは自分を客観視して、一人の患者として捉えることだった。

「手術できるものは、まずは手術する」

 船戸医師は自分にそう言った。そして手術で腫瘍を取り除き、自身が取り組んできた高濃度ビタミンC治療や温熱治療などの補完代替医療で、再発を予防することを決意し、積極的な生活習慣の改善を提唱しているのだ。

*「週刊アサヒ芸能」10月5日号掲載。(2)に続く

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