健康宅配チェックシート〈痛風〉(2)激痛の先に待っている怖い病気

 夏場は汗のかきすぎにご用心あれ!

「土日に野球やサッカーをした中年男性をよく診察します。総じて、捻挫だと思って整形外科に来るんです。ところが、いざ診察してみると痛風だったというケースは珍しくありません。原因は大量に汗をかいたのに水分補給を怠ったこと。尿酸の70%は尿として排出されますが、大量に汗をかくことで排尿回数が減ってしまい、体内に尿酸が蓄積されてしまいます。さらに、運動後の打ち上げでビールや肉を大量に飲み食いしたら〝ダメ押し〟です。翌朝に布団の上で悶絶するほどの痛みに襲われて─」

 運動をすることは悪いことではない。ただし、むやみやたらに激しい運動をしてしまうと逆効果だ。

「バーベルを用いたウエートトレーニングのような『無酸素運動』は新陳代謝を活発にさせて尿酸値を高めてしまう。ウォーキングやジョギングをはじめとする『有酸素運動』の方が痛風を予防するには適しています。もちろん、水分補給を欠いてはいけません」

 もっとも、食事や不摂生の積み重ねだけが原因でないのが悩ましいところ。

「診察に来られるのは、生活習慣が原因の患者さんばかりではありません。遺伝的な要因が大きいので、薬を活用して尿酸値を下げることも必要です。ちなみに、私自身も薬を服用して尿酸値を基準値内に収めています。確かに、日々の食事を変えることで数値は改善しますが、例えば肉野菜炒めを食べるにしても、肉を全部抜きにするぐらいの極端なことを強いられます。であれば、ある程度の節制は前提として、おいしい食事のために薬に頼る方が心身の健康を維持できると思います」

 それでも単なる関節炎として放置していると、より痛い目にあってしまうという。

「発症しても1~2週間のうちに発作は引いていきます。ただ、痛風の先には動脈硬化、さらにその先には脳梗塞や心筋梗塞のリスクが潜んでいます。もちろん、腎臓にもかなりの負担がかかっていることも忘れてはなりません。健康寿命を延ばすためにも、尿酸値を適切な数値で維持することは大切なんです」

 取り返しのつかないことになる前に薬に頼る選択も一考しよう。

【痛風チェックシート⑩】

セルフチェックで5点以上は近くの医療機関へGO!

①エビやイカが大好物 1点
②毎日、お酒を飲む習慣がある 1点
③満腹になるまでドカ食いしないと気が済まない(腹八分目は嫌だ) 1点
④乳製品を食べる習慣がない 1点
⑤味噌汁に海藻類を入れない 1点
⑥水を飲む習慣がない 1点
⑦無酸素運動(ウエートトレーニングなど)だけをする習慣がある 1点
⑧健康診断で尿酸値が7以上 3点
⑨家族や親せきに痛風になった人がいる 3点
⑩なんだか足の関節が疼いて不快だ 7点

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