「三笘の先発はなくなった」ドイツ遠征で明らかになった森保ジャパンの「序列」

 カタールW杯本戦メンバー決定前、最後の試合となったエクアドル戦。森保監督は快勝したアメリカ戦から先発11人を入れ替えて臨んだ。

 エクアドルはアメリカと違って真剣勝負を挑んできた。日本は後手後手に回り、なんとか0-0で引き分けたが、エクアドルにもう少し決定力があれば0-2で負けていた。日本にとっては本番前にいい強化になった。

 この試合で注目されたのが久しぶりの先発出場となった三笘薫(ブライトン)だ。三笘といえば、日本代表のスーパーサブ、ジョーカー的存在。その独特なドリブルと決定力を武器に8試合で5ゴールを決めてきた。

 ところが、この試合前、彼は「スタメンでもできることを証明する、いい機会にしたい」とポジション獲得を宣言。右サイドには伊東純也(スタッド・ランス)という絶対的なレギュラーがいるが、左サイドは未知数。アメリカ戦では久保建英(レアル・ソシエダ)がアピールに成功しただけに、三笘もポジション争いに殴り込みをかけたいところだ。

 しかし、日本が劣勢だったこともあるが、ボールが入っても相手のプレッシャーをパスで逃げることが多く、縦に突破したのは一度だけでシュートも撃てなかった。この結果で三笘の先発起用はなくなったといえる。

 それでも森保監督にとっては、三笘の良さを最大限に活かすにはベンチスタートが最適であることがわかったことは大きい。相手が疲れてきた後半の途中に、日本の攻撃の切り札として使えることは大きな武器になる。

 もうひとり気になったのが南野拓実(ASモナコ)。4-2-3-1のトップ下で先発した。左サイドで使われることが多かった南野だが、評論家からは「左よりも中央のほうが活きる」と言われてきた。ところが全く機能せず精彩を欠き、アメリカ戦での鎌田大地(フランクフルト)に大きく水をあけられ、代表での序列を落とした。

 エクアドルに勝てなかったからと言って何も悲観することはない。先発で使える選手、使えない選手がハッキリしたことで、森保監督も使いやすくなった。

 ドイツ遠征の2連戦は対照的な結果になったが、2連勝して気が緩むよりも苦戦する試合があって課題が見えた方がいい。そういう意味で最後の遠征は収穫の多い遠征になったのではないだろうか。 

(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップアジア予選、アジアカップなど数多くの大会を取材してきた。

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