テレビ朝日は10月4日、「羽鳥慎一モーニングショー」でレギュラーコメンテーターを務める同局・玉川徹氏に出勤停止10日間の〝レッドカード〟を突きつけた。
事の発端は9月28日の放送。安倍晋三元首相の国葬で、菅義偉前首相が読み上げた弔辞に「当然、これ(大手広告代理店の)電通が入っていますからね」と発言。ところが、翌日の放送で「事実ではありませんでした」と謝罪していた。
事態を重く見たテレビ朝日は10月4日に開かれた定例記者会見で、玉川氏を5日から出勤停止10日間の懲戒処分にしたと発表。玉川氏は処分明けから番組に復帰するという。
ネット上では「たった10日間?」「降板が妥当では?」「電通の圧力に負けたな」といった厳しい意見の一方で、「玉川さんがいないと寂しい」「視聴率に響くのでは」「ますます注目されて玉川さんは得をした」などと、玉川氏寄りのコメントもあった。
玉川氏といえば、歯に衣着せぬコメントが持ち味。専門家が相手でも自身の意見と異なれば、遠慮なく牙をむく。好戦的な物言いを嫌う〝アンチ〟が多いのも事実だ。これには理由があった。
2019年4月公開の「日刊ゲンダイDIGITAL」で、玉川氏は嫌われ役は筋書き通りであることを告白している。2015年に「モーニングショー」がスタートするにあたり、キャスターを務めるフリーアナウンサーの羽鳥慎一に「僕が悪役をやるので、羽鳥さんは善玉に徹してください」と言い、羽鳥アナも「それで行きましょう」と納得したことを明かした。玉川氏が言うには、テレ朝の社員だからといって、「当たり障りのないコメントで面白いですか?」ということらしい。
あえて悪役に回った玉川氏と、善玉の羽鳥アナの掛け合いは「モーニングショー」の見どころの1つとなった。しかし、10日間とはいえ〝悪役不在〟の状態になる。
「〝毒〟も〝棘〟もない、平板な番組になるかもしれません。ときに玉川氏の発言は炎上しますが、見方を変えれば辛口の〝スパイス〟になっています。玉川氏を除けば、暴言を吐くのは金曜コメンテーターのタレント・長嶋一茂くらいでしょう。それ以外の曜日は悪役不在の甘口情報番組になる可能性があります」(テレビ誌ライター)
出勤停止中の玉川氏も、ハラハラして番組を見ていそうだ。
(石田英明)