国税庁が主催する、酒類の発展・振興のためのアイディアコンテスト「サケビバ!」が物議を醸している。「サケビバ!」は「お酒のこれからを自分たちで考えよう」というキャッチコピーが示す通り、20歳から39歳までの若者から、縮小傾向にある日本産酒類の市場を活性化させるためのビジネスプランを募集するというものだ。人口動態の変化や、コロナ禍でのライフスタイルの変化により、若者世代の飲酒量が著しく低下している現状を打破する狙いがあるが、このコンテストの開催に批判の声が寄せられている。
公募がスタートした7月1日当初は業界内でもさほど話題にはなっていなかったものの、今月15日に「2ちゃんねる」創設者で実業家のひろゆき氏が「日本酒の販売促進って国税庁がやる仕事?」と同企画に反応するなど、国内外の有識者やインフルエンサー達が声をあげはじめたことをきっかけにネット上では批判のコメントが爆増。
同企画は海外メディアでも取り上げられ、アメリカの経済学者・ケルトン教授も《日本政府は税金の狙いが分かってないようだ。悲しくなるほど恥ずかしくないのなら、可笑しいと言えるかもしれないけれど》と皮肉たっぷりのツイートを投稿。日本の“SAKE”文化にマイナスイメージがつくのではないかという見方もあり、国内ではより批判の声が過熱してしまうという流れになっている。
「国税庁がなぜ酒の販売促進をという声もありますが、実は酒類業界は農林水産省ではなく国税庁の管轄にあり、そもそも酒類業振興は国税庁の仕事なんです。毎年振興のための予算も割り振られています」(業界関係者)
それにも関わらず、国税庁の酒類販促が今になり突然に物議を呼んだということは、裏を返せばこれまで国税庁の行ってきた酒類業振興が人々に全く認知されず、有効性を発揮するキャンペーンが実施できていなかったことの証明になるのではないだろうか。
(浜野ふみ)